二次元

□非日常の日常
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ぼんやりと目を開けると視界広がる白銀。
…ん?何の色だ?
「ハヤト?」
幼っぽく俺を呼ぶ声に俺の意識は浮上する。最初に見えたのは珍しく心配そうな表情を浮かべる瓜の顔だった。
「…ハヤト。やっと目、醒ました!」
嬉しそうだが何処か不満そうな声でそう呟いてプイッと顔を背ける。
まだ頭が上手く回らないが何でこんな所で寝ていたのか思い出した。
また姉貴を見て俺は倒れた。
何ともはずかして情けない。
本当十代目に見られなくて良かった。
十年後まで来て十代目に心配はかけたくない。
色々考えている内にある事に俺は気がつく。「…もしかして…瓜、お前…!ずっと居てくれたのか?」
俺が聞くと瓜は視線を反らしたまま頷く。
相変わらず素直じゃない。
でもそこが可愛いと思う俺は可笑しいか?
「だってビアンキ姉ちゃんに任せとくとハヤト悪化するじゃん」
視線を反らしたままぼそりと瓜が呟く。
聞き逃しそうなほど小さな声だった。
何時もは言いたい事だけはほっといても勝手に言うくせに変な奴だ。
「…瓜。俺、どのくらい寝てたんだ?」
「えっとね…半日位?」
俺が聞くと瓜が顔を上げて少し考えるような仕草を見せて答えた。
「…俺はそんなに寝てたのか…。何か情けねぇな」
姉貴を見ただけで半日も寝込むなんて本当に情けない。
十代目に合わせる顔が無い。
「ハヤト?」
軽く首を傾げたまま瓜の奴はジッと俺の顔を見てオレの名前を呼ぶ。
俺、そんなに情けねぇ顔してるのか?
瓜は暫く何も言わずじっと俺の顔を見つめていた。
「瓜、ありがとな」
俺が思ったままそう声に出して言うと瓜の奴は少し驚いた顔しやがった。
…待て。俺今何か変な事言ったか?
俺が素直に礼言うのがそんなに珍しいのか瓜ぃ!!
「…別に」
驚いた顔した癖にそっけない態度で瓜の奴は返した。
「本当。サンキューな瓜!」
違う態度の瓜の姿も見てみたくて瓜の頭をワシャワシャと撫でてそう言ってやる。
「嫌っ!嫌ぁだ!止めてよ、ハヤト!」
俺に撫でられるのが恥ずかしいのか嫌々をして一歩後ろに飛び退いた。
声音からして本気で嫌な訳ではなさそう。
…本当素直じゃない奴だ。
「瓜。         」
「…隼人のバカ!」
俺の言葉に瓜の奴はそう叫ぶと顔を真っ赤にして部屋を飛び出していっちまった。
因みに瓜が戻って来たのは飛び出してから三時間後だった。
瓜の居なかった三時間に何があったかは頼むから聞かないでくれ……。
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