二次元

□非日常の日常
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ソイツはトタトタと俺の方に走って来たかと思うと突然飛び付いて来た。
突然の事に俺は当然避けられる訳も無く不本意ながらソイツに押し倒される形になった。
「瓜!突然飛び付いて来んじゃねぇって何時言ってるだろ!」
俺が言うとソイツ―瓜―はその赤み掛った大きな瞳に何で?と言いたげな表情を浮かべきょとんとして首を傾げた。
…どうやらまだ元の姿の時の癖が抜けないらしい。
瓜は俺の匣(ボックス)の中から出てきた嵐猫で何故か七日前の朝起きたら人の姿になっていた。
何故突然そうなったのかはリボーンさん曰く「突然変異じゃねぇのか?」だそうだ。
リボーンさんが言うならそうなのだろう。
…それはまぁ、しょうがないとしても…だ。
「瓜、お前何時まで俺の上に居る気だ?いい加減降りろ!」
俺がそう言うと瓜の奴は怨めしそうに俺を見て短く一言。
「…嫌だ」
幼っぽくそう呟いた。
「嫌だじゃねぇ!今すぐ降りろ。十代目にこんなお姿晒す訳にはいかねぇんだ!」
俺がそう言うと瓜は拗ねた様にプイッと顔を背ける。
コイツの容姿は確かに可愛らしいがそれにほだされてはいけないとこの一週間で俺は学習した。
なんと言っても瓜は嵐猫―つまりは猫だ。
兎に角コイツは気まぐれなんだ。
どうやらその時の気分で行動してるらしいという事はこの一週間で分かった。
「瓜」
「嫌だ」
「少しは自分が人型だって自覚しろ」
「知らない」
「…早く退けって動けねぇんだよっ!!」
「…じゃあずっとこのままでいい」
「俺がよくねぇんだよ。さっさと降りろ瓜。匣に戻すぞ!」
「もぅ、煩いわね。隼人も隼人よ。何、子供みたいにギャーキャー騒いでるの」
俺が一番聞きたくないかもしれない声がして不覚にも俺は声をした方を見てしまった。
案の定俺の視線の先には姉貴が立っていた。
勿論ゴーグルなど付けていない。
「くはぁっ!!」
急な吐き気とめまいに襲われて俺の意識は遠のいて行く。
「ハヤトぉ!」
誰が俺の名を呼んだ気がしたけど誰だったんだろ…?
十代目だったら良いのにって思った俺は駄目ですか?
十代目。
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