【 Other Couple 】Short ss

□下手なキス
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【下手なキス】




ブラは鼻歌を歌いながら人込みを掻き分けて街を歩く




そして歩く先に悟天の姿が一瞬だけ見えて……





「あら、悟天君だわ」



ブラは益々、気分が良くなると少し駆けながら悟天が見えた方向へと走る



ヒールを履いていて足元がふら付いたりしたものの、できるだけの速さで走ると
悟天はもうすぐ目の前で……



ブラは片手を挙げて元気よく、声をかけようとする




「悟………てん…くん………」



そう呼びかけるものの、最後のほうは声が小さくなって声をかけられなかった



何故、声が小さくなってしまったかというと、ブラは目の前の光景に信じられない驚きがあった





――――どうして悟天君が私じゃない女の人といるの?




悟天君と付き合い始めてから、そんなことなかったのに……


もしかして、私が知らなかっただけなの?




私はただの遊びなの?






ブラは涙が溢れそうになる前に怒りが溢れる



すると、遠慮なく近づいていくと、悟天がこちらを見て笑っている




そして、そこには先ほどの女性はいなくて人込みの中へと紛れていた


ブラは睨み付ける様に悟天を見上げると、悟天が口を開く




「……こんな街中で会えるなんて偶然だね」



そうヘラヘラと笑う悟天が許せなくて………



ブラはグッと拳に力を入れる




「えぇ、本当に偶然よねぇ…悟天君」



「…ブラちゃん、どうしたの?怒ってる?」




悟天は尋ねると、ブラは怒りが頂点を達して、力を入れていた手を開くと……


そのまま、悟天の頬を引っ叩く




そして怒りのままに言い放つ




「悟天君、惚けるつもり!?私、見たんだから!悟天君が女の人と話してるの!私と付き合ってからは今まで一度もなかったのに……私が知らないだけで悟天君は笑ってたんでしょ!?私は信じてたのに……もう大っ嫌い!」



「………えっ、待ってよ、女の人って?」



悟天は赤く腫れた頬を気にするでもなく訪ねる



ブラは未だに知らない振りをする悟天に怒りだけを感じて……




だが、それとは対照的に騙されていたという悲しみと切なさをも体中を駆け巡って


それでなのか、涙がスーッと頬を伝っていく



だが、口からは一番言ってはいけないことが言葉になる




「……知らない振りするなんて最低ね、もういい………私、悟天君と別れてもっといい男の人捜すから!」



ブラは言い放つと、自分の中に受け継いでいるサイヤ人の潜在能力を使って
全力で人込みを掻き分けて走っていく




だが、人を傷つけないように気はなるべく抑えて……






そして走りきったその先は―――


人通りの少ない路地




ブラはほとんど使い果たした気を抑えると、酸素を肺へと送り込んでいく



気を抑えながら無理して走ったからか……


はたまた、トレーニングをしていなかったからか……




体は予想以上に疲れていて、その場に力なく腰を下ろす




そして息を吐いていると、人の気配を感じて……


ブラは後ろへと振り返る




そこに立っていたのは、


紛れもなく、超化した悟天の姿―――





きっと、超化した理由は気を高めて早く探し出せるようにしたのだろう




だが、ブラにはそんなことは関係なくて、その場を去ろうとする


けれど、足がパンパンに張っていて立ち上がれなかった




悟天は超化を解くことなく近づいてくと、一言……




「ブラちゃん、俺、ブラちゃん以外の女の子なんて目に入らないよ?」



悟天が静かで穏やかな声で言う



ブラは動かない足を見つめ、悟天を見つめることなく言う




「……嘘よ、私、見たもん…さっきまで悟天君は女の人といたところ…」



「さっきまで?ブラちゃんと会う前?」



「そう、これ以上傷つきたくないからもう言わないで……帰ってよ」




ブラは俯きながらも、涙が溢れそうになってしまって……

感情に従うままに涙を流す




すると、悟天の胸へと引き寄せられて…抱きしめられる



「……いやっ!違う女の子、触った手で私のこと触んないで!」



ブラは自分の力で抵抗を見せる



けれど、悟天は抵抗を見せるブラに構わずに抱きしめ続ける




「俺、他の女の子に触ってないし、きっとブラちゃん誤解してる」



「誤解なんてしてない!この目で見たんだから!」



「さっきまでいた女の人ってきっと、道を教えた人だと思う……俺、その人意外、今日話してないから」



「………嘘……ただ、道教えてただけ?」




ブラは悟天に聞き返すと抵抗を見せなくなる



悟天は頷きながら、ブラの問いに答える




「そうだよ…道聞かれたから答えただけ、だからただの他人だから安心して」



「それ……ホントに本当?」



「当たり前じゃん、俺はブラちゃん以外の女の子には見向きもしないから大丈夫だよ」



「………そう…だったんだ」



ブラは自分が勘違いしていたことに少し、申し訳ない気持ちが生まれる



そしてあることを思い出す




―――私の勘違いで悟天君を叩いちゃったんだった!―――




ブラは思い出すと、悟天の体を離して、頬を見つめる



すると、まだ僅かに赤みが残っていて………




ブラはそっと悟天の頬に触れて優しくなでる





「……悟天君…殴ったりしちゃってごめんなさい……勘違いだったのに…痛かったでしょ?」




ブラが尋ねると、悟天は小さく笑って一言……




「じゃあ、責任取ってくれる?」



「……うん、私のできることならしてあげる」



「そっ、なら俺にキスして?」



「…えっ!やっ、やだよ」




ブラは左右に頭を振り、否定する


だが、悟天はブラに微笑みながらに言う




「じゃあ、どう責任取る?俺、痛かったよ」



「………だから、それは…その………」




ブラは目を泳がせてどうすれば言いかを必死に考える



そして上目遣いで悟天を見上げると一言……




「………キス…してもいいけど…私、自分からするの初めてだから、下手だよ?」



「いいよ、下手でも…だからして」



悟天はその場にしゃがみこんで言う



すると、ブラは顔を真っ赤にしながら、悟天の目を見つめる




「……じゃあするから、目閉じてくれる」



「いいよ…これでいい」



悟天はそういいながら目を閉じる



「…うん、絶対に瞑っててね」



ブラは緊張で慌てながらも、悟天の唇めがけて、自分の唇を合わせる



だが、緊張で固まってしまって、唇を硬く閉じる




すると、悟天から唇を離されて、鼻がすれるような近さで言う




「……確かに下手だね」



「…だから言ったでしょ?下手だって……」



「じゃあ、いい機会だから教えてあげるよ」



「えっ……!………んっ」




ブラは驚いた次の瞬間に口付けを落とされる



ブラは反射的に目を閉じると、悟天は本当にキスが上手で……


ブラは慌てながらも受け入れると、何度も角度を変えて口付けられる




だが、ブラは悟天の愛を感じることができて本当に幸せな気持ちでいっぱいだったのだった







―――――――――――



10000hitありがとうございます!



こちらは記念小説ですのでお持ち帰りokです。

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