【 Other Couple 】Short ss

□アイタイキモチ
1ページ/1ページ



【アイタイキモチ】




「お母さん、おやすみなさい」


とソファに座って雑誌を読んでいるチチに言うと
雑誌から目を離して


「お休み・・・悟飯ちゃん」


と言われると悟飯はそのまま背を向けて自室へと入った



すでに悟天は眠っていて寝息を立てていた



悟飯は悟天の頭をそっと撫でると


「よく寝てるなぁ・・・」


と呟くと自分も隣に敷いてある布団へ横になった




だが、脳裏によぎるのはビーデルの姿で寝付けるどころか
ますます、目がさえていく一方だった



悟飯は完全に寝付けなくなると


「少し勉強でもするか」


と呟くと布団から起き上がり、勉強机に向かった



そして鞄から教材を出して勉強しようとしたが
何もする気がなくて手付かず・・・



悟飯は机に顔を伏せるとため息をついて


「会いたいなぁ・・・」


と一言呟いた



すると、悟飯は椅子から立ち上がって窓を開けると
そのまま、ビーデルの家に向かい飛び立った






―――――そのころ、ビーデルは―――――



悟飯と同じようにベッドに入ったはいいが
脳裏には愛する人が浮かび上がり寝付けずにいた



ビーデルはベッドの中で包まるように布団を体に被せて


「・・・一日会ってないだけなのに・・・こんなになるなんて・・・」


と呟くとビーデルの頬には涙が伝った



そして声を殺して泣いていると窓がトントンと叩かれる音がした



だが、ここは3階・・・


ビーデルは風のせいだろうと思い、ベッドに包まっていると
もう一度、窓を叩かれる音が鳴り響いた



ビーデルは『まさか!』と思うと涙を拭いて
ベッドから体を起こした



そして少し駆け足で窓へ向かい、カーテンを開けるとそこには・・・・・・



自分が今、一番会いたくて仕方なかった愛しい人・・・悟飯の姿があった



ビーデルは急いで鍵を開けると窓を開け放った



そしてビーデルは悟飯に飛びついて


「わざわざ、寒い中きてくれてありがとう・・・」


と嬉しそうに微笑んだ後に、涙があふれた



悟飯はビーデルの気の乱れと声を殺しているしゃくり声に


「ビーデルさん?泣いてるの?」


とビーデルを抱きしめ返しながら言った



だが、ビーデルは左右に首を振って


「泣いてなんか・・・ないもん・・・」


と涙声ながらも意地を張り素直になれずにいた



悟飯は素直じゃないビーデルに小さく微笑むと


「そっか・・・じゃあビーデルさんは僕に会いたくなかった?」


と尋ねると先ほどより大きく左右に首を振って


「会いたかった・・・一日会えなかっただけなのに・・・すっごく離れてる気分で・・・」


「・・・僕も同じ・・・一日会わないだけでもすっごく苦しくて寝付けなかったんだ」


と言って照れくさそうに笑った



ビーデルは悟飯を離すと


「私もよ・・・会いたくてベッドに入っても眠れなかった・・・」


と涙筋を残しながら笑った



悟飯はビーデルの涙を拭くと


「じゃあ、ビーデルさんが眠るまで隣にいてあげるよ」


「・・・ダメよ・・・明日学校で朝早いのよ?」


「大丈夫だって・・・僕、戦い続きで何日も寝ないときあったし、一日くらい寝なくても問題ない・・・」


そういって微笑んだ



するとビーデルも困ったように笑って


「・・・じゃあお願いしちゃおうかなぁ・・・?」


「もちろん・・・でも朝にはお母さんたちが心配するからビーデルさんが起きる前に帰っちゃうと思うけど大丈夫?」


「平気よ、夜だけでも一緒にいられるんだもの・・・嬉しいわ」


そう微笑むと悟飯はビーデルの顎を掴んで


「目、閉じてもらってもいい?」


と聞くと、ビーデルは照れくさそうに笑ったがゆっくりと目を閉じた



悟飯はビーデルが目を閉じたのを確認すると
優しく自分の唇をビーデルの唇に重ねた



二人の会いたいという気持ちは一つになった瞬間だったのだ




――――――――――

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ