【 Vegeta × Bulma 】Short ss

□一枚の写真
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【一枚の写真】






恐怖の人造人間が息子の手によって倒されてから早、数年――――




C・Cも復興に向けて部屋の瓦礫や埃などを掃除中のこと……





ブルマは作業着を着ながら至って汚れていない場所を掃除する



まず、砂や埃などを掃除して汚れきっているゴミを片付ける




だが、埃が空を舞っていて、何度も咳き込んでしまう





「……まったく、片付けって苦手なのに…この調子じゃ掃除ロボ作ったほうが早いんじゃないかしら」



ブルマは言いたいことだけを言ってまた咳き込んでしまう




そして作業をとめていた手を動かす




だが、作業も終わりを告げるころに、ブルマは未だに片付けていなかった引き出しを開ける


――――が




引き出しを開けたところでブルマは硬直してしまう



そして小さな声が口から漏れる




「………それ…って……」



声が漏れると同時にそれを取る




そう……


ブルマが見たものとは一枚の写真



自分とべジータと幼いトランクスとで撮ったたった一枚の家族写真――




ブルマは写真を手に撮ると同時に目からは大粒の涙が頬を伝っていく





そして、写真を撮った日のことが鮮明に脳裏に焼きつく





――――――――――――――


―――――……………




『ねぇ、べジータ、家族写真撮りましょうよ』



ブルマはトランクスを愛子ながら庭のテーブル椅子に座っているべジータに言う



べジータは鼻で笑うと、ブルマを見る




『そんな暇はない』



一言言うと、手元にあったコーヒーを一口飲む



『あんた、今日は修行はしないって言ってたじゃない…だからどうせ暇なんでしょ?ねぇ、一枚でいいから撮りましょ』



『断る、何度も言わせるな』



べジータはブルマの目を見ることなく言う



すると、ブルマは怒鳴りながらに言う




『あっ、そう!別にいいわよ!これから重力室が壊れても絶対に直してあげないんだから!』



『ちっ、勝手にしろ』



そうやって二人が言い合うと、ブルマの腕に抱えられていたトランクスが声を上げてなき始める



べジータはトランクスの泣き声に慣れていないためか、その声に悪態を吐く




だが、ブルマは必死にトランクスをあやす



『トランクス〜、泣かないでね、お願い、泣いちゃダメよ』



そうやって優しく話してもトランクスは泣き止むどころか、大声を立てて泣き始めてしまう


すると、ブルマはべジータをにらみつける




『あんたが写真を撮ってくれないから泣いちゃったのよ、どうしてくれるのよ!』



『……別に俺のせいじゃない、いいからそいつの鳴き声をどうにかしろ』 



『どうもできないのよ、そんなに言うならあんたがあやせばいいでしょ!?』



そういって、トランクスの脇に手を入れて持ち上げると、べジータへと引き渡す



だが、べジータは顔を避けて腕を組んだままでトランクスを抱えようといない




ブルマはそれほどまでに嫌われているのかと思うと、目が潤んでしまう




『べジータ、そんなに私とトランクスが嫌いなの?』



そういうと、トランクスを抱えながら二人で泣き始めてしまう



べジータは大きく舌打ちを打つとその席を立ち上がってブルマに背中を向ける




そして、一言……




『一枚しか撮らんからな……さっさとしろ』



悪態を吐きながらも、べジータは写真を撮ることに賛成した



すると、ブルマの涙は嘘だったかのように笑顔を向けて………




『わかったわ、すぐに用意するから待っててね』



そういうと、トランクスも泣き止んで、嬉しそうに笑っていた



ブルマはトランクスを持っては準備ができないためにべジータの目の前に立つと
トランクスを差し出す



『ちょっとの間、抱いててくれない?用意するのにトランクスがいたら時間掛かっちゃうからお願い!』



『断る……』



『早く終わらせたいって言ったのあんたでしょ!少しの間でいいから早く!』




ブルマは無理強く、べジータの腕に抱かせる



すると、べジータは舌打ちをしながらもちゃんと支えてくれて


ブルマは嬉しくなって微笑むと一言




『ありがとう、カメラの組み立てするから待っててね』



一言、言うとブルマはカメラをポケットから出して組み立て式のカメラをセットする


それはものの数秒で組み立て終わって……



ブルマはセットが終わると、カメラを庭のテーブルへと置く


そして、シャッターを1分後に設定してボタンを押す



そしてべジータとトランクスのいるほうに振り返ると―――


べジータはトランクスを抱くのに悪戦苦闘中




トランクスがべジータの服を引っ張ったり、べジータの頬を引っ張ったり………



ブルマは必死に笑いを抑えていると、べジータがブルマの方へと振り向く




そして舌打ちを打つと一言




『早く持て!』



『……わかったわよ、まったく』



そういってトランクスを抱こうとするが………



だが、トランクスはべジータの腕からすり抜けると、ブルマの方には行かず
べジータの腕をわたって、背中へと回り込んでしまう



ブルマは小さく笑うと、べジータに言う




『あんたがいいみたいだからあんたが抱いてなさいよ』



『何故俺が……早くトランクスを抱き上げろ』



そういって、べジータはトランクスのいる背中へと腕を回す


すると、トランクスはべジータにしがみ付いて……



頬を引っ張る




すると、ブルマは耐えていた笑いが抑えられなくなって笑い出す



それと同時に―――


シャッターが落ちて……




――――――――――――――――


――――――……………




全てを鮮明に思い出したブルマは涙を流しながらも小さく笑う




そして、自らの涙を拭くとその写真を包み込むように抱きしめる





そこへ、トランクスが入ってきてブルマは後ろへと振り向く



「…母さん、俺が手伝えることありますか?」 



気遣いの言葉をかけてくる




すると、ブルマは成長した息子のトランクスを見ると、駆け寄って抱きしめる



トランクスは頬を染めて恥ずかしがるものの、ブルマは言う




「……トランクス、大きくなったわねぇ」 



「母さん、いきなりどうしたんですか?」



トランクスは戸惑いながらに尋ねる



ブルマは抱きしめている腕を解くとトランクスを見上げて小さく笑う




「ちょっとね、昔のこと思い出してね」



「………父さんのことですか?」



「そう、それと私の方は間に合ってるから違う作業員を手伝ってあげて」



ブルマは過去を明かすことなく、話をそらす



すると、トランクスも小さく笑って頷く




「はい、わかりました……何かあったら呼んでくださいね」



「わかってるわよ」



そういって、去っていくトランクスの背中を見送る



そして手も持っていた写真を見つめると、その写真を先ほどの引き出しの中へとしまう




「……思い出は胸の中にあったほうが綺麗だもんね」



そう呟くと、その部屋の片づけを続行し始める







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10000HITありがとうございます。


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では本当にありがとうございました。

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