【 Goku × Chichi 】Short ss
□小さな約束
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チチが初めて命を授かってから約、五ヶ月ほど経った
チチのお腹は最近になってから大きくなり始めていて
悟空は初めて目にするものだから少しばかりは驚いていた時期もあった
だが、悟空も少しながら理解していると
チチを気遣うように修業も3日に一回行く程度になっていた
例え修行に行ったとしても、食料を調達してくるか
午前だけなど修業時間も減らしてまでチチを心配していた
チチは悟空の特別な優しさに触れることができて
とても嬉しそうに日々を過ごしているとき・・・・・・
悟空はここ一週間ほど修業に出るどころか
外にさへ出なくなった
そしていつもチチに気遣いながら毎日を過ごしていた
チチは隣にいてくれるのは嬉しかったものの
やはり少しは外に出てもらいたくなり、隣に座っている悟空に言った
「悟空さ?今日も修業さ行かねぇのけ?」
「・・・あぁ、今日も休む・・・かな?」
「・・・なして?」
「そりゃ、チチが無茶しないか心配で仕方ねぇからに決まってんだろ」
悟空はチチを見ながら言った
だがチチは小さく笑い
「悟空さ?最近修業さ行ってねぇから行ってきてもいいだぞ?おらは無茶なんてしねぇだ」
「でも、心配で修業に夢中になれねぇんだ・・・だから」
チチのとこにいる・・・
そう言おうとしたがチチは少しだけ睨みつける
「ダメだ!少しは外の空気吸ってくるだ!最近はちっとも外にでねぇで・・・そんな生活ばっかしてたら体調崩すだ!」
チチは悟空の前に仁王立ちした
悟空は少し冷や汗を掻いて
「オラ、外の空気なんて吸わなくたって風邪なんか引かねぇって・・・」
「いんや!絶対に体調崩すだ!それに最近ちっとも狩りしてねぇから食料がきれちまうだ!修業はしなくても良いから何か採ってきてけろ!」
と言って悟空を睨みつけると有無を言わせないかのように玄関の扉を開けた
「ほら!行って来るだ!」
チチは強気で言う
すると悟空は仕方なさそうに立ち上がる
「じゃあ何か採ってくっから大人しくしてろよ?」
「大丈夫だ!それにそんな簡単には赤ちゃんは死なねぇから安心するだ、ただでさえ馬鹿力の悟空さの血を引いてるだ、そんな簡単に死ぬはずねけべ?」
と優しく笑って言った
すると悟空はチチの前まで歩くと苦笑いをして
「だよな!じゃあ行ってくっから大人しくしてろよ」
「分かってるだ」
と言うと、二人は軽いキスをして
悟空は外に出ると
「筋斗う〜〜ん・・・っ・・・」
と大声で空に向かって言うと
筋斗雲独特の音を立てて悟空の目の前で止まった
すると悟空はチチのほうに振り返り
「行ってくんな!」
と明るく笑った
するとチチも攣られるかのように満面の笑みで笑って
「行ってらっしゃい、悟空さ」
と行って手を振った
すると悟空は筋斗雲に座り込んで
「筋斗雲!でっけぇ魚のいる川まで全速力で飛ばせ!」
と明るい声で言うと筋斗雲はスピードを上げて空へと走っていった
チチは微笑みながら悟空を見送ると家の中へ入った
そして腕捲りをすると
「今日は悟空さのためにたーんと飯さ作るだぞ!」
と言って意気込むと食事の下拵えをし始めた
下拵えをし終わると洗濯物や片付けなどお腹に負担をかけない程度で全てを終えた
そして下拵えをしてあったものを調理しようと高い棚にしまってある鍋を取り出そうとした
だが、チチの身長ではその鍋には届かず
少し無理をして手を伸ばすと鍋には届いたものの、その上に重なっているフライパンなどが落ちてきそうになった
「・・・あっ・・・!」
チチは小さく声を上げると全てが落ちてくる痛みを和らげようと
反射的に腕を顔の前でガードした
だが、落ちてくる痛みはまったくなく
全てのものが床に落ちた音だけが鳴り響いた
チチは固く瞑っていた目をゆっくり開けると
目の前には悟空が鋭く、チチを見つめていた
「・・・悟空さ・・・!」
と言って悟空に抱きついた
だが、悟空はチチを降ろすことなく睨むように見つめる
「大人しくしてろって言っただろ!?」
とチチの目を見て怒鳴りつけた
するとチチは驚いたように目を見開いたが
少しだけ涙腺が緩み、目が潤んだ
すると悟空は少し慌てながら
「チチッ!その・・・怒ったわけじゃねぇんだ!あの・・・えっと・・・」
と言ってチチを降ろすとチチをなだめ様とした
だが、チチは悟空の服を掴んで泣きそうになるのを必死に抑えながら
「だって、悟空さを喜ばせようと思って・・・飯さ作ったら喜ぶべ?」
と涙を拭くと悟空を見上げた
すると悟空はチチを抱きしめて
「嬉しいけど、オラはチチが元気なほうがもっと嬉しいから大人しくしててな?」
「・・・・・・うん、分かっただ・・・」
と言って、悟空を抱きしめ返した
すると悟空はチチの頭をなでながら
「約束だぞ?」
「・・・うん、約束だ」
と言うと軽い口付けを交わした
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こちらの小説はDBwebアンソロ★522に参加させていただいた小説です。
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