【 Goku × Chichi 】Short ss

□雨の日プロポーズ
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悟空とのデートを終えてから、数十分―――




チチは親の元を離れて暮らしているアパートへと帰宅する



「…ただいま」


その音をも虚しく響いて、チチは電気をつけて部屋を明るくする




一部屋ながらもチチの部屋は綺麗に片付いていて無駄なものが置いてあるでもなく
綺麗な一室のベッドへと飛び込む



そして、大きなため息をつく




―――さっきまでずっと一緒に居たってのに…

こんなに寂しくなるなんて………



悟空さは仕事で忙しいんだからしかたねぇべな……



また来週まで会えないんだべな…―――




チチは会えない寂しさに涙腺が緩む



けれど、泣くことはしなくて強く目元を拭く





そして、鞄に入っている携帯を取り出すと、着信暦から一番、着信暦の多い悟空の連絡先を見つめる



けれど、通話ボタンが押せなくて………




―――さっきまで一緒で電話なんてしたら変だって思われちまうだ…




チチは結局通話ボタンを押すことができずに携帯を握り締めたまま、窓から夜空を見つめる



だが、雨が降りそうな雲で星空は見えなかった




それはチチと同じような気持ちの雲で………


チチはふっと微笑む



「…おらの今の気持ちとそっくりだべな……」



そう呟くと、そのまま雲のかかっている空を見つめる





だが、手に持っている携帯がバイブによって振動する



チチは携帯をあけると、画面を見つめる




そこには、『悟空』とかかれたメールが届く


チチはすぐさま、悟空から来たメールを見つめる




そこに書いてあったのは………



『家に着いたか?』



の、一言だけで絵文字も使われていないメールだった




だが、チチは満面の笑みで微笑むと返信ボタンを押して、本文を入れ始める



『もうついただよv

悟空さもついただか?』


そう、打つと送信ボタンを押して悟空の携帯へと返信を返す




そうすると、2分も経たないうちに返信が返って来る



そこに書かれていたのは………



『オラも着いたよ、チチは今、電話できる?』



――――と




チチは満面の笑みで笑うと、メールボックスではなく、着信暦から悟空の名前を探す



『悟空』と言う着信暦はすぐに見つかって、チチは迷わずに通話ボタンを押す



そして耳に響くのは―――



―――プルルルルルルルッ―――



という、コール音…




それはすぐに通信に切り替わる





そして最初に口を開くのは―――



「もしもし、悟空さだか…?」



と、チチが最初に口を開く




『…あぁ、電話して平気だったか?』



「うん、おらも電話してぇって思ってたんだべ、だから悟空さから電話したいってメールくれたとき嬉しかっただ」



『そっか、よかった…』



「おらより、悟空さは平気だか?仕事の書類とか溜まってねぇだか?」



『……まぁ、あるっていったらあっけど、今はチチの声聞きたくなってさ』



「それは嬉しいけんど、本当に平気だか…?」



『大丈夫だって……相変わらず心配性だな』



そういうと、電話の向こうからはクスクスと笑う声が聞こえる



それに釣られるようにチチも微笑む





それから30分ほど、電話での会話が続く



だが、そんな二人にも電話での会話が終わろうとする




「でな、ブルマさが…………」



チチは話を続けようとするが、悟空が眠そうに頷いていて……




チチはベッドから体を起こして、声をかける




「……悟空さ、眠いだか…?」



そう尋ねると悟空は小さく苦笑い



『あぁ、ちっと眠ぃな……』



「………そうだか、じゃあ1つだけ聞いてもいいだか…?」



チチは遠慮気味ながらも尋ねる




『あぁ、いいよ……』



「…悟空さ、来週の日曜日は休みだか…?」



『………わりぃ、日曜はさ、先輩と付き合わなきゃなんなくて…再来週の日曜日なら会えるぞ』




―――再来週…


じゃあ来週は会えないんだべか―――




そう思ってしまうと、涙腺が緩み始めてしまう




チチは必死に悟空の前では泣かないように涙を抑える




「………わかっただ、仕事…がんばってけれな……」



チチは普通の振りをしようとしたのに、声が震えてしまう




『……チチ、泣いてるのか…?』



悟空はすぐにチチの異変に気づいてしまって心配そうに尋ねる





チチは涙が頬を伝いながらも無理して微笑む



「…おらが、泣くはずねぇべ……もう、眠くなってきたから切るな」



『……ちょっ、待てって』



悟空は静止をかけるものの、チチは聞こえない振りをして………



「それじゃ、おやすみなさい…」



一言、告げると、携帯を耳から遠ざけて電話を切る




すると、何かが崩れてしまったように

涙が溢れ出して止らなくなってしまう……




チチはベッドの枕に顔を埋めると、声を殺して涙を流す






―――それから数分、泣いているとそのまま眠りについてしまった



だが、扉が叩かれる音が部屋へ響く




チチは眠気が残る頭を起こす



そしてドアのほうへ向かおうとするが、叩かれている音は後ろから聞こえるもので……



チチは不思議に思うと、後ろへと振り返る




そして後ろのバルコニーのドアの前になっていたのは会いたくて仕方なかった悟空の姿



雨に濡れてきたのか、体中びしょ濡れで服も体に張り付いていた




チチは夢を見ているのかと思い、目をこする


が、夢ではなく、間違いなく悟空の姿があった




チチはすぐに窓に近づいて鍵を開ける



そして開けた瞬間に飛びつくように抱きつく




雨が降っているのと悟空が濡れているのでチチはびしょ濡れになったが
まるで気にしていないように、悟空を見上げる



「………悟空さ、悟空さっ!」



「そんなに何回も呼ばなくたってわかるって……」



「だって、会いたかったんだべ」



「それは知ってけどさ、おめぇまで濡れっちまうぞ…」



「それでもいいだ……悟空さといられれば」



チチは抱きしめる力を強める



すると、悟空も力を強めて口を開く




「……チチ、おら1つ言いたいことがあってさ……来月にしようと思ったんだけど抑えらんねぇ」



「何だべ…?」



チチは悟空の胸元に頭を預ける




すると、悟空の鼓動が聞こえるものの、少し早かった


チチは不思議に思いながらも悟空の言葉を待つ




そしてチチの耳に届いた悟空の言葉は………



「指輪は来月買うつもりでさ、用意してないんだけど……結婚…してくれないか…?」



チチはその言葉を聞くと、自分の耳を疑う



けれど、悟空はもう一言



「……オラ、チチと一緒に暮らして家族ほしいんだ…だから、ダメかな……?」



今度のチチは耳を疑うことなく、そのまま涙だけが伝う



けれど、嬉しくて笑みだけが零れて、小さくうなずく




「うん、おら悟空さのお嫁さんになるだ」



「サンキュー……」



悟空も小さく笑うと、チチを抱きしめる





少しの間、抱きしめあっていると、自然と体を離して………


…お互いに見合うと口付ける





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