【 Goku × Chichi 】Short ss

□久しぶりのキス
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ここは病院の個室―――。


サイヤ人という侵略者を追い返したものの、悟空はボロボロ

そのため、入院しながら治療を繰り返していた



そんなある日――。




チチは花瓶にある花を新しいものに変えながら悟空に状態を尋ねる



「悟空さ、まだ痛むだか?」


「あぁ、平気だぞ、だからさ修行させてくれよ」



悟空はよほどに修行をしたいのか、忙しなく体を動かす

だが、チチは花を変えながら言う



「ダメだ!お医者様の許可が出たらな」


「ハァ、厳しいな、これじゃ体鈍っちまうぞ」



そういいながら腕を軽く回した


だが――。

悟空はいいことを思いつく



そして…。



「いてっ!」



悟空はわざと肩を痛めたように声を発する


予想通り、チチはこちらへと振り向く



瞬間――。

悟空は振り向いたチチの唇に軽いキスを落とす



だが、腕を固定されてて顎を掴めない分、すぐに離される

そしてチチは怒鳴ってくる



「悟空さ、何やってるだ、動いたら悪化するだぞ!」


「大丈夫だぞ、舞空術は体に関係ねぇかんな」



悟空は舞空術を使っていたため、体はあまり動かしていない

そのため、体への負担は掛からなかった




だが、チチは――。




「ダメだ!それにここは病室だ!誰か来たらどうするだ!」


「別にいいじゃねぇか‥それに夫婦ってのは普通にするって言ったのチチだろ」




悟空は恥ずかしげもなく言う

だがチチの頬は赤く染まっていた


そして頬を赤く染めながら強気で悟空を見つめながら言う




「なっ、何言ってるだ!人前ではしちゃなんぇんだ!」




チチは気恥ずかしくなり、少し目をそらす


だが、悟空はチチの赤くなる横顔を見つめながら言う




「チチ、こっち向いてくれよ・・・久しぶりなんだしいいじゃねぇか」


「悟空さが勝手に死んじまうからだべ!」



声は強気なチチ

だが、瞳には涙すら浮かんでいた


悟空はさすがに申し訳なく思い、一言。




「悪かったって・・・オラ謝ったじゃねぇか・・・」


「おらがどんな思いで一年間過ごしたか悟空さにはわかんねぇべ・・・」



チチは寂しい一人の時間を思い出して…。

ついには泣き出してしまう



悟空は弱気なチチをその胸へ抱きしめる


そして泣きじゃくるチチの背中をなでながら言う



「悪かったって・・・チチ許してくれよ・・・」



そういいながらもチチは泣き止まない



―――泣くぐらいなら怒っててくれたほうがいい



そう思った悟空はチチを泣き止ませようとし、

チチの怒るようなこと。


チチの髪留めに手を伸ばして…シュルッ、と解いてしまう



案の定…。




「なっ!何するだ!何で取っちまうだ!」



チチは涙声ながらも潤んだ瞳で悟空を見上げる

だが、今にも泣き出しそうなチチ



不意に悟空は思い出す



「チチの髪解いた姿も久々だな」



そう…。

朝と夜以外はほぼ髪を結んで解いていないこと。



そして、解いた髪が何よりもサラサラで綺麗だったこと。

悟空はそんなチチを見ることが久しぶりだった



そんな優しい目差しを向ける悟空に―。


チチは自分が怒っているのが馬鹿らしく思えてきて。

小さく微笑む




「ったく、悟空さは・・・仕方ねぇから許してやるだよ」



素直になれないチチはできるだけの言葉で返事を返す


だが、自分の腕は―。

すっ、と悟空の背に回っていた



―と

悟空も少し痛む腕でチチを優しく抱きしめる



そして、もっとチチを確かめたいとさえ思う

そのためなのか、自然に口が動き、声を発する



「なぁ、チチからキスしてくんねぇか?」



自分でも驚くくらいに自然で静かな声だった


チチはその声を聞くと小さく微笑み、悟空の肩に手を置く

だが、なるべく傷が痛まぬよう、そっと優しく置くだけ―。


そして真っ直ぐな悟空の瞳を見つめると、微笑む




「わがままだべな…一回だけだからな?」


「あぁ・・・」


「じゃあ、目閉じてけれ・・・」


チチがそういうと、悟空はゆっくりと目を閉じた

チチは目を閉じたことを確認すると、遠慮気味に口付ける


だが、少し緊張して肩に力がこもり、唇もキュッと閉じてしまう




それを見かねた悟空がチチの後頭部を押さえつけ、深い口付けを交わす


いきなりのことにチチは驚き――。



「、ん………ゃ、めて!」



チチは悟空の胸板を押し返し抵抗する


だが――。



―――ゴホンッ!



そう咳払いをする音が聞こえた


それを聞いた瞬間―。

悟空はチチの唇を開放する



そして咳払いの音が聞こえた方向にいたのは――。


悟空の専属医師と看護士がいた

それも頬を真っ赤に染めて。



「孫さん、仲がいいのは結構だが、ここは病院ですから・・・」





そういい終わったと同時にチチの怒鳴り声が響き渡ったのだった


もちろん、怒鳴られた相手は―。

悟空の他ならない。





―――――――――――――



最終加筆:2011.7.16

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