【 Goku × Chichi 】Short ss

□儚く散る初恋2
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【儚く散る初恋2】








チチが悟空と結婚してから7年程が経った



俺はあれからもずっと荒れた生活を送っていた


就職なんてしなくたって親の残した財産があるし

家だってある。不自由はなかった



けど、俺を満たしてくれるものは誰一人いない


喧嘩も自分より勝るものなんていなくて

女も好きになれる奴なんていなかった



チチ以外は誰も好きになれなかった





――――――――――――


――――…………




カカロットは暇で家を出て、外を目的もなく歩いていた



すると、ボールが自分の足元に当たる


カカロットは無視して歩こうと思ったが、背後から少女の声が響いた




「お兄ちゃん、ボール取って〜?」



明るく元気な声が響く


カカロットは小さくため息をつくと、パーカーに入れていた手を出し、
しゃがみ込むとボールを取る



カカロットは声をかけられた少女へとボールを渡そうとする


だが、カカロットはその少女に思わず魅入る




「……チチ?」




それは自分の唯一好きになったチチにそっくりだったからだ

少女は自分の手からボールをとる


すると、首をかしげて尋ねてくる




「……チチってお母さんの知り合い?」


「えっ……いや、別に何でもない…気にすんなよ」




そういってカカロットは少女の頭を優しくなでる



――――こいつ、チチと悟空の子供か



そう考えていると、公園の中にいる少年が少女の隣に並ぶ


その少年も悟空そっくりと少年だった




「どうしたんだ?早くしろよ」


「お兄ちゃん、違うよ…お兄ちゃんにボール取ってもらったの」


「ふ〜ん……まぁいいや、それより早くしろよ、オラあっちで待ってっから!」




そういうと、少年は少女の手からボールをとって駆けていく


カカロットは少女を見ると、少女は微笑みかける




「今の私のお兄ちゃんなの、すっごく優しいんだよ」


「へぇ……よかったな」


「うん!自慢のお兄ちゃんなんだ!」


「そっか…じゃあ大切にしろよ、俺急いでっから……」


「そっか……じゃあまた会えるといいね」


「そうだな、じゃあな」




そうカカロットは微笑んで少女に背を向ける


少女はカカロットに手を振って微笑む




「バイバーイ!またね!」



そう手を振って、公園の中へと入っていく


カカロットは公園に入っていく少女を見ると、小さく微笑む

そして曲がり角を曲がる




――――と、バッタリ


目の前には悟空とチチがいた




カカロットは目をそらして、来た道を戻ろうとする


だが、悟空とチチがそうさせるはずもない




「おっ、カカロットじゃねぇか!久しぶりだな」


「久しぶりだべな、カカロットさ、元気だったか?」



そう声をかけられてしまう


カカロットは深くかぶっていたパーカーのフードを前が見える程度に上げる



すると、昔とほとんど変わらない悟空とチチがいた


カカロットは小さく笑顔を作る




「あぁ、お前ら、この辺に住んでんだな」


「そうなんだべ、最近引っ越してきただよ」


「……そうなんだ、それより、オラんとこの子供、見てくか?」


「そうだ、見ていくといいだよ、元気で優しい子供なんだべ」




チチは自慢げに微笑む

それを悟空は優しい目で見守っている



カカロットは小さく微笑むとチチを見て言う




「今、見てきた……女と男の兄妹だろ?チチと悟空そっくりだからすぐわかった」


「そっか、どっちも可愛かったろ?」


「ん、まぁな」




そういうと、自分の下に誰かがぶつかる


カカロットはなんともなかったが当たったのは子供のため、少し跳ねる




「いったぁ……ごめんなさい」



そうお尻を摩っている少女は先ほどの少女だった


少女は自分と目があうと、目を輝かせて立ち上がる

そして優しい笑顔を自分へ向ける




「また会ったね、お兄ちゃん」


「あ、あぁ……」



カカロットは曖昧な返事を返してしまう


だが、少女は微笑んで悟空とチチの方を見る




「お母さん、お父さん…私ね、このお兄ちゃん、好きになっちゃったの」


「い゛カカロットを好きになったのか!?何で?」



悟空は父親なりに少し傷つく


カカロットは突然のことに驚く

けれど、子供のいうことだと思い、小さく微笑んで見守る



だが、チチは少女と同じ背丈になるようしゃがみ込む

そして少女の頭を優しくなでる




「カカロットさはいい人だもんな、おらは賛成だよ」


「本当〜〜!お母さんは知ってるの?お兄ちゃんのこと」


「知ってるだよ、小さいころからの友達だべ」


「そうなんだ〜、じゃあ今度いろいろ聞かせてね」




そういうと少女は自分のほうへと歩み寄ってくる


カカロットは少女の背丈に合わせてしゃがみ込む

すると少女は優しく微笑んで言う




「ねぇお兄ちゃん、大人になったら私と結婚して?ダメ?」




少女は少し頬を染めて恥ずかしがりながらに言う


カカロットは小さく微笑むと、少女を自分の腕に抱き上げる

すると少女は呆然としながら自分を見つめる



カカロットは少女を見ながら言う




「大人になったら、結婚してやるよ、それまでお前の場所、取って置いてやるよ」


「本当〜〜!ありがとう!絶対約束だよ」




そういうと少女は身を少しだけ乗り出して、カカロットの頬に口付ける


カカロットは目を見開くと、口付けられた頬に触れる

すると少女は照れながら笑う




「約束のキス…お母さんとお父さんもよくやるんだよ、でもお母さんとお父さんは口と口でするんだけどね」



そういうと悟空とチチは頬を染める




「ちょっと、そういうことは言っちゃなんねぇっていったべ?」


「それより、カカロットと結婚するなんてオラはゆるさねぇぞ、絶対にダメだ!」


「何言ってるだよ、悟空さは……子供のいうことだし、可愛いもんだべ?」


「いいや、子供の約束でもダメだ!」




そう2人は言い合う


少女は2人の言い合いを見ているとクスクスと笑う



だが、自分の方を見て耳打ちする




「お父さんが許してくれなくても絶対に結婚しようね、駆け落ちだってする勇気あるからね」


「お前、駆け落ちなんて言葉知ってんのか、頭いいな」


「そうでもないよ、お兄ちゃんこそ、優しくてかっこよくて大好き」


「そっか、じゃあ俺急ぐから……今度は大人になったら迎えに来るからな」


「うん、絶対に迎えに着てね」




少女は優しく微笑んで言う


カカロットは少女の頭を優しくなでると、少女を降ろす



すると少女は自分を見上げて微笑んでいる


カカロットは少女の頭を優しくなでると、その場を去ろうとする




だが、背後から悟空の声が響く





「オラはおめぇになんかやんねぇかんな!絶対だぞ!」




そう聞こえるものの、カカロットはわずかに微笑むだけでその場を後にしていく






――――――――――――――


―――――………




もし、チチと悟空の子供がもう少し大きくて

歳もここまで離れていなかったら


あいつが俺を本気になせてくれたかもしれない




それくらい、あの少女はチチそっくりで性格までそっくりだった


でも、少女もいつかは自分を忘れて
他の男のものになるんだろうな



チチと同じように………





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