【 Goku × Chichi 】Short ss

□恋する思い
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【恋する思い】






俺の思いは未だに空を舞う


幼い頃からずっと隣にいて隣でずっと見ているのに
あいつは俺の思いに気づいてはくれない



・・・・・・俺の思いはどうすればあいつの心へと届くのだろう?





屋上で昼食中


「カカさ?今日のはおいしいだか?」


とチチはカカロットの顔を覗き込むように尋ねた



「あぁ・・・うめぇぞ!これってさ新しく作ったか?」


と言うとチチは満面の笑みを浮かべて


「カカさ!よく気づいただな!初めて作ったから口に合わなかったらどうしようって思ってただよ!でも良かっただ」


と言うとチチは自分の弁当のおかずを食べ始めた



カカロットはチチに作ってきてもらっている弁当のおかずやご飯を食べていると
チチが手を伸ばしてきた


「カカさ、急いで食べてると口元汚れちまうだよ!」


と少し怒鳴りながらもカカロットの頬についているご飯粒をとると
自分の口へと運んだ



カカロットは頬を少しだけ染めると


「チチ・・・他の男にはそんなことすんなよ?」


「・・・・・・なして?汚れてたら言ってやるべきだべ?」


と小首をかしげ言った



「注意すんのは良いけど、他のやつにそんなことしたらダメだぞ?」


「・・・だからなして?今のいけねぇことなのけ?」


「・・・俺以外の男には禁止だ」


「・・・?カカさには良いのけ?・・・まったく意味わかんねぇこというだな」


というと小さく笑った



カカロットはチチを見つめながら


「チチ・・・俺の命令だから絶対にするなよ」


「・・・命令って・・・そこまで言うならカカさ以外にはやんねぇだよ」


と言って弁当を食べ始めた



カカロットはチチの食べている姿を見つめながら


「・・・チチ・・・おめぇさ好きなやついねぇの?」


「いるだよ?カカさだべ、ブルマさだべ、ヤムチャさだべ、18号さにクリリンさ!他にもいるけど言ってたら日がくれちまうだ」


と微笑んだ



だがカカロットはチチを見つめながら


「そうじゃねぇって・・・特別なやつだよ・・・・・・お前って恋したことねぇのか?」


「恋・・・?おら、恋とかってよくわからねぇだよ」


「・・・ふ〜ん・・・・・・まぁいいや」


というとカカロットは残りの弁当をお腹へと溜め込んだ



チチは悟空の横顔を見つめながら


「カカさは恋ってのしたことねぇだか?」


と尋ねるとカカロットは驚いて目を見開き
チチの方へと向いた



「いきなりなんだよ・・・」


と少し頬を染めながら言うとチチは首をかしげて


「だって、おらは恋とかよくわかんねぇから良いけど、カカさは恋のことわかってんだべ?だったらしたことあるんだべ?」


「・・・・・・・・・あっけど、チチには教えねぇ」


というとチチから目を逸らした



するとチチは少しだけ頬を膨らませて


「なして!?長い付き合いなんだし教えてくれても良いでねぇか?」


「ダメだ!ぜってぇにいわねぇもん」


とカカロットは口を開こうとしなかった



だがチチは負けようとはせずに


「意地悪!おらだけなら教えてくれても良いでねぇか」


「チチが本気で好きになったやつができたら教えてやる」


とそうだけ答えるとカカロットはその場に寝転がった



するとチチはクスリと困ったように笑って


「おら・・・好きって気持ちよくわからねぇから、いつになるんだべな?」


と言うとチチはカカロットの隣に寝転がった



するとカカロットに寄り添って


「カカさ・・・ちいせぇときにやってた腕枕、やってけれ」


と小さな声で言うとカカロットは頭の後ろで組んでいた腕を片手だけ解いて


「・・・良いけどちいせぇときみてぇにやわっこくねぇぞ?」


と言うとチチの頭の後ろに敷いた



するとチチはカカロットに密着して目を閉じると


「本当だな・・・いつの間にかこんなに逞しくなっちまって」


と言うと睡魔が襲い、チチはカカロットの腕で寝息を立て始めた



カカロットはチチの寝顔を見つめていると


「本当・・・チチって鈍感だよな・・・・・・そんな無防備に眠ってっと普通の男だったら襲っちまうぞ」


と呟くとそっとチチを抱き寄せてそのまま、自分も眠りについた





―――――――――――――・・・・・・・・・





―――そんな日々から日が経つのはあっという間で高校卒業日―――



卒業式が終わって卒業証書を片手に持ちながら廊下を歩いていた


そして向かった先はたくさんの思い出が詰まっている屋上だった



階段を登って屋上の扉を開けるとそこにはチチの姿があった



涼しそうに風に当たって、長い黒髪は風になびいていて・・・



カカロットは屋上の扉を閉めるとチチは扉の閉まる音に気づいたのか
カカロットのほうへと向いた



そして優しく笑いながら


「カカさ・・・卒業おめでとう・・・」


と微笑んで優しい声で言った



カカロットはチチの隣に歩み寄ると


「チチもおめでとう・・・・・・」


と交わすとカカロットも優しく微笑んでチチの横顔を見つめた



するとチチは遠くの空を見つめながら


「カカさ・・・おら、恋って意味、理解できただ・・・」


と照れくさそうに微笑んだ



「そっか・・・じゃあチチは誰かに恋してんだな・・・」


「・・・・・・・・・・・・ぅん、教えてあげてもいいだよ」


とカカロットの目を見つめながら言った



カカロットは少し目を逸らすと空を見上げて


「・・・俺の知ってるやつか?」


「・・・・・・うん」


「・・・・・・誰だ?」


とカカロットは覚悟を決めてチチに尋ねた



するとチチも意を決したように


「・・・・・・カカロットさ・・・だべ」


と静かな声で告げた



カカロットは驚いて目を見開くとチチをまっすぐに見つめて


「・・・・・・カカロット・・・って俺?」


と半信半疑でもう一度聞き返した



チチは小さくうなずくと空を見上げて


「おらたち、就職先も違って会えるときが少なくなるべ?だから伝えたいって思ったときに伝えないとダメだって思っただ・・・だからカカさの答えも聞かせてけろ」


と告げるとカカロットの目を見つめた



カカロットはチチの目を見つめながら


「いいよ・・・教えてやる・・・・・・俺が恋したって女はチチ・・・おめぇだ・・・・・・」


そういうとカカロットはチチの手首を引っ張って抱き寄せた



チチは驚いたように目を見開くと今の状況がつかめず真っ白になっていた



「・・・カカさがおらを好き・・・?」


と独り言のように呟くと


「・・・・・・あぁ・・・チチよりもずっと前から俺は好きだったんだ・・・」


「・・・・・・本当け?」


「・・・チチ・・・しつけぇぞ?・・・俺、恥ずかしいからあんま言わせんな」


とカカロットは頬を染めながら言った



チチは嬉しそうに笑いながらも嬉しさで涙腺が緩み


「・・・・・・嬉しいだ・・・カカさ・・・」


と言うとカカロットを抱きしめ返して涙を流した



カカロットはチチの髪に指を通しながら


「チチ・・・泣くなよ・・・・・・」


「・・・・・・だって・・・」


「・・・・・・泣かれっと抑えらんなくなっから泣くなって」


「・・・・・・・・・・・・カカさ、抑えなくてもいいだよ」


とチチが言い終わるとお互いに体を離した



カカロットはチチの目を見つめながら


「じゃあ、キスしても良いか?」


「・・・・・・いいだよ」


とチチが目を閉じるとカカロットはチチの唇に自分の唇を重ねた



お互いに初めてでぎこちないキスだったが初めてのキスは涙の味がした



けど、二人はこれから新しい明日を作っていくのだった・・・・・・






――――――――――

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