【 Goku × Chichi 】Long ss

□体育館倉庫
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あれからブルマとチチは恋バナをし合っているとチャイムが鳴り響いた


その後、先生の指示に従って挨拶を済ませると男子もちょうど終わったのか
次々に体育館から出て行った


チチもブルマとともに体育館から出て行こうとしたが


「チチさ〜ん、今日の片付け担当はチチさんだからよろしく頼んだわよ〜!」


と背後から先生の声が響き渡った



チチは担当だったことをすでに忘れていたが、ブルマはそこへ


「・・・体育館倉庫って片付けるの大変なのよね」


「そうなの?」


「ぅん、きっと男子が必要だと思うわ」


「そんなに大変なの!?」


「そうよ、だから手伝ってもらいなさいよ」


そういうと、ブルマは周囲を見渡してある人物を見つけた


その人とは今、体育館の奥で男子に囲まれて笑いあって話しているカカロットであった



ブルマは大きく手を振ると


「カカロットせんぱ〜い!ちょっとチチが話したいことがあるみたいなのでいいですか〜?」


ブルマは体育館内に響くような声で言った



すると、チチは自分の名前を出されたことに驚いてブルマを止めに入った


「ちょっと、駄目だよ・・・迷惑かけちゃうでしょ」


チチは小声でブルマだけに聞こえるように言った



だが、時すでに遅し・・・



カカロットは友達に手を振ると、こちらのほうに急ぎ足で走ってきた



ブルマはチチの腕を引いてカカロットのほうに手渡すと


「・・・何しちゃってもかまわないので、私は行きますね」


と言うと、ブルマはチチを置いてその場を立ち去ってしまった



チチはブルマを引きとめようと後を追おうとしたがカカロットに手首を掴まれて


「チチ、話って何だ?」


そう言われ、引き止められた



チチは困ったように顔を俯かせると


「・・・えっとね、体育館倉庫の片付け、手伝ってくれないかな?」


チチはやっとの思いで伝えきった



カカロットは小首を傾げて素っ頓狂な声を出して


「それだけなんか?」


「・・・ぅ、ぅん・・・迷惑だよね、いいよ、断っても」


チチはカカロットの顔を直視することのできないまま、俯いていった



「・・・いや、迷惑とかじゃなくて、チチってそんなことで遠慮するんだって思っただけだから」


「・・・だって大変って言ってたんだよ、だから迷惑だと思ってて・・・」


「チチ、俺には遠慮なんてしなくてもいいからな、何でも相談にだってのってやるし、頼みごとだって聞いてやっから」


そう言われ、カカロットはチチの頭を撫でた



チチはカカロットの言葉に少なからず喜びを感じた


けど、それは後輩としてみているからなんだと思うと、少しの切なさを感じた



そう・・・

チチにとっては先輩と後輩という関係が大きな壁だと感じたのだ



だが、そんな思いを悟られないようにチチは必死になって言葉を捜しだし


「・・・ありがとう、頼りになる先輩だね」


と笑って見せた



だが、チチは自分でもわかるくらいに引きつっていてうまく笑うことができなかった



チチはその場を切り抜けるためにカカロットに背を向けると


「早く片付けやろう?遅れると怒られちゃうからさ」


そういって体育館倉庫へと歩んだ



カカロットはチチの様子の変化に気づいたが本人が自分から言ってくれるまで待とうと決めて
何も尋ねることなく、小さく笑って


「そうだな、早く済ませちまおうぜ!」


とチチの後を追って隣に並んで体育館倉庫へと向かった



そして渡されていた鍵で体育館倉庫を開けると、そこは埃が舞っていて
薄暗く、肌寒かった


「・・・相変わらず汚ぇな・・・」


カカロットは独り言のようにつぶやくと、電気を点けた


「・・・こんなとこをやるの?」


「・・・そうなんだよな・・・これが一人でやれって言われっと辛ぇんだよな・・・」


「こんなとこ・・・やっぱり先輩は帰っててもいいよ?」


チチは迷惑をかけないように気遣い言った



だが、カカロットはすぐに作業へ移ると


「ここは女一人でできるとこじゃねぇし、俺、何度もやったことあるから平気だって」


「・・・何度もやったことあるの?」


「あたりめぇだろ・・・年に50回はやらされる」


「みんなやらされるの?」


「・・・いや、普通に学校生活を送ってれば年に2、3回くらいだと思うけど、俺、喧嘩ばっかしてっから罰としてやらされる」


カカロットは苦笑いをしながら言った



するとチチは面白そうに声を出して笑うと


「・・・なんだよ〜・・・」


とカカロットは情けないような声を出した



「・・・だって、またやらされるって思っても喧嘩して問題起こすんでしょ?それで真面目に罰を受ける先輩を思い浮かべると可愛くて」


チチはクスクスと笑いながら笑った



カカロットは膨れっ面で見ていたものの、チチの笑顔を見た瞬間に自分も笑い始め


「・・・確かにわかってて喧嘩するんだよな、でも罰受けねぇともっと増やされるし・・・」


「ふふっ・・・先輩って真面目だよね」


「真面目?そうか?」


「うん、真面目・・・素直で真っ直ぐで嘘つかないでしょ?」


「・・・自分のことはよくわかんねぇけどな」


「まぁ、いいや、早く済ませちゃおうね」


そういって笑うと、バスケットボールやバレーボールを仕舞うスペースを作り出そうとして
跳び箱などを動かそうとした


だが、18段もある跳び箱を押すことなんてできるはずもなく


「・・・あれ?ぜんぜん動かない」



そうつぶやくと、もう一度力を入れてみたがほんの少し動くだけでそれ以上は進まない・・・



カカロットはチチの姿を見て笑っていると


「チチ、力仕事は俺がやっからさ、バスケボールの籠とか持ってきとけよ」


そういって、チチの押し続けている跳び箱を片手で移動させた



その力の差に驚いて呆然としていると、カカロットに頬をつねられた


「いひゃぃ(痛い)」


「じゃあ早く仕事やれ、じゃねぇと日が暮れちまうぞ」


「わはったぉ〜・・・(わかったよ〜)」


カカロットはチチの聞きづらい言葉を聞き取ると頬を離した



チチは少し赤くなった頬を両手で押さえると、摩りながら


「・・・先輩、もう少し手加減してよ・・・これじゃ痛すぎる」


「だってボーっと突っ立ってられると邪魔になるだろ?」


「そうだけど言ってくれればいいでしょ?」


「チチって呼んだけど返事しなかっただろ?」


「呼んだの?」


「おう」


「・・・それは私が悪いかも・・・」


チチは俯き加減で言った



カカロットはコロコロと変わるチチの表情を見ていると面白くなり、微笑んだ 



「・・・そんなことより、早く籠もってこいよ」


「わかった、じゃあ、置く場所作っておいてね」



そういって笑うと、体育館倉庫の重い扉を開け、ボールの入った籠を取りに向かった



バスケットボールが仕舞ってある籠は舞台前


そしてバレーボールは出口の近くで体育館倉庫とはさほど離れていない場所



チチは最初にバスケボールの籠を取りに行き、その後にバレーボールの籠を取り
体育館倉庫へと戻った



だが、チチは倉庫の扉に手をかけて少しだけ開けて目に入ったものに硬直してしまった



チチの目に入ったものとはカカロットと女の子が抱きしめあっているところ・・・



それを見た瞬間・・・


チチは表情を固まらせたまま、一歩後ろへ後退った



すると足元が籠へと当たってしまい、静かな音が鈍く響いた


カカロットはその音に反応すると、音がした目の前を見つめた



チチはカカロットと一瞬、目が合うと涙が溢れ出して、チチはその場を去ることしかできなかった

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