【 Goku × Chichi 】Long ss

□命令
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名も知らない先輩と桜の木下で出会ってから数週間―――・・・



チチは何とか新しい友達もできて親友といえるほどまでの友達もできた


それは自分の前の席のブルマという大人っぽい女性

髪色は生まれつきのブルーで瞳の色までもブルー

そして容姿は大人っぽいものの、性格は非常に明るくて真っ直ぐな人柄

自分がこうだと思ったものは強い意志で固めて、気が強い


チチにはぴったりの人であった

自分を引っ張ってくれるような明るい人

そんな友達が欲しいと願っていたからだ


そしてただ今、授業中・・・


ブルマは先生に気づかれないようにチチの机に手紙を置いた

ノートの切れ端なのか、破られたような紙であった


チチは渡された紙を捲るときれいに整っている字を読み始めた


今日は、べジータと約束してて一緒にお弁当食べられないの

ごめんね


だから今日は違うこと食べてくれるかな?


そう記載されていた


チチは自分のノートの切れ端を破って返事を書き始めた


わかった、今日は他の子と食べるから謝らなくても平気だよ

べジータとは仲良くね


チチは標準語を使って返事を書くと、ブルマの肩を優しく叩いた


すると、ブルマは先生の目を盗んで、手紙を受け取った

そんなやり取りをしていると、校内にはチャイムが鳴り響いた


その後、生徒たちは緊張感から解放されて騒ぎ出した


チチとブルマもその生徒たちの中の一組であった


ブルマはチチの方に振り返ると


「今日は本当にごめんね、ドタキャンなって悪いなぁって思ってるんだけどベジータがどうしてもって言うのよ」


「大丈夫だから心配しないで、それにべジータとは仲良くしなきゃならないでしょ、だから謝んなくても平気だから・・・ねっ?」


「・・・本当にごめんね、私もう行かなきゃ」


ブルマは腕時計の時間を確認していった


チチもつられるように確認すると先生に名前を呼ばれた


チチは先生の呼びかけに答えるとブルマに目をやり


「それじゃ、私も用事できちゃったし早く行って来な」


とブルマを席から立たせて背中を押した


ブルマは未だに悪いという気持ちは残っていたものの、軽く手を振って


「・・・それじゃ行ってくるね、今度埋め合わせするから」


と急いだように走り去っていった


チチはブルマの背中を見送ると先生の下へといった


「チチ、このクラスの代表生なんだろ?だからこれを職員室までよろしく頼んだぞ」

そういうと、チチの返事も聞かずに先生は急いだように早足で教室から出て行った


チチは先生を引きとめようとしたものの、何かを言う気分でもなく、そのまま黙り込んで先生に頼まれた仕事をこなした


先生が頼んだものとは今日、提出したノートとプリント、それに重ねてたくさんの教材

チチは大きなため息をつくと、全て重ねると、持ち上げた


だが、チチが思っていた重さよりも重いものであった

チチは視界がさえぎられる中でも必死に足元を確認しながら階段を降りて
職員室へと向かった


だが、職員室へ向かう途中で背後から手が伸びてきて教材を半分以上、持ってくれた


チチは軽くなったことに驚いて後ろを振り返るとそこには桜の木の下で出会った先輩の姿があった


チチは驚いて教材を落としそうになったが彼が支えて


「チチ、落ちちまうぞ?」


と自分の自己紹介もしていないのに彼は自分の名前を知っていた


そのことにも驚いたがチチは教材を持ち直すと


「先輩は何で私の名前を知ってるんですか?」


「何でってずっとお前のこと見てたから」


と彼はチチをからかうように小さく笑いながら言った


だが、純粋なチチにとっては照れてしまうような言葉であり、頬を真っ赤に染めた


「何言ってるんですか!?そういう風にからかうのやめてもらえます?」


と少し慌てながらも言葉を整理して言った


彼は真っ赤になるチチを面白そうな目で見ながら笑うと


「からかうの面白ぇからやめねぇ・・・それより俺に聞きたいことあるんじゃねぇ?」


「・・・聞きたいこと?」


「そう、聞きたいこと」


「・・・何かありましたっけ?」


と小首をかしげて尋ねた


すると彼は拍子抜けしたように笑うと


「馬鹿だな、聞きたいことくれぇあるだろ?チチは俺の名前すら知らねぇだろ?」


「・・・あっ、そういえば知りませんでした、教えてもらえますか?」


「俺はカカロット、聞いたことあるだろ?」


とカカロットは尋ねた


チチは小首をかしげて考え込むと思いついたように小さな声を上げた


「そういえば、喧嘩して呼び出されたのはカカロットって人ってブルマがいてたような気が・・・」


チチは曖昧な記憶を頼りに途中まで言いかけた



するとカカロットは苦笑いをして


「それも俺だけどなんかもっとねぇの?」


「・・・私はそれしか知りません、それにこの高校って男子が不良すぎて興味がわかなくて・・・」


と少し申し訳なさそうに遠慮気味に言った



「・・・ここは不良校で有名だからな、チチだって知ってて入ったんだろ?」


「不良校!?・・・全然知らなかった」


と大声を出した後、独り言のように呟いた



カカロットはチチの反応に面白そうに笑っていると、話を切り替えた


「それより、これどこ運ぶんだ?」


カカロットは教材を軽く持ち上げて視線を教材へと移した


「・・・えーっと、職員室だけどカカロット先輩は手伝ってもらわなくても平気ですよ」


「いいから、気にすんなよ、早く行こうぜ!」


カカロットはチチの前を歩き始めて断る気などまったくなかった


チチは何度言っても無駄だと思い、小さなため息をついてカカロットの横を歩いた



そして無事に職員室へと運び終わるとチチはカカロットに向き直り


「手伝ってくれてありがとうございます」


と軽く頭を下げていった



すると、カカロットは小さく笑って


「・・・それじゃ、一つ頼んでもいいか?」


「・・・何をですか?」


チチは顔を上げてカカロットへ聞き返す



「じゃあ、その敬語やめてくんね?」


「だめですよ!先輩には敬語使わなきゃ・・・」


「じゃあ、その先輩からの命令だ、敬語はやめろ」


「・・・でも、駄目ですよ」


「もしかしてチチ、先輩からの命令も聞かないつもりか?」


カカロットは馬鹿にしたように言う


するとチチは目をそらして、少し俯いて考え込むと


「・・・これからはなるべく敬語を使わないようにします」


「じゃあ、よろしくな、チチ」


「・・・はい、じゃなくて、うん、よろしくね、カカロット先輩」


と笑い合うと、二人は別々の道へと分かれていった

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