【 Goku × Chichi 】Long ss

□桜の木
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今日からおらは目の前の高校・・・

龍珠高等学校へ通うことになった



この高校を選んだたった一つの理由・・・

それは親友も同じ高校へ通うからというだけのこと



だが、友達はここの高校に受かることができず、別々の高校になってしまった



それではたった一つの理由であることから外れてしまう



だけど、おらは友達も別れても何とかして友達をたくさん作って
楽しい高校生活へと第一歩を踏み出した



チチは目の前の校門を抜けると綺麗に咲き誇る桜を見つめた


本当なら、このまま指定されている教室へと向かうのだが、チチは綺麗な桜に見とれて
桜の木の下まで歩み寄った


そして桜を真下から見上げた


「・・・綺麗な桜だべなぁ・・・」


小さな声で呟くと桜の木を見上げて一周した


桜の木はしっかりと根付いていてすごく立派な木であった



チチは木に耳を近づけるとゆっくりと目を閉じて


「ここまで立派に育つなんてすごいだなぁ・・・おら、こんな立派な桜の木なんて初めてみただよ」


チチは優しい声で語りかけた



それから少しの間、語り続けていると軽く肩を叩かれた



チチは閉じていた目をゆっくりと開けると振り返った

そこには不良と思われる男子が一人立っていた


髪色は金髪で服装はネクタイも首から下げたまま

そして片耳には銀色に光るピアス


チチにとっては一番苦手なタイプの男子であった


チチは苦手であったもののその場を離れようとはせずにしっかりと彼のアイスグリーンの目を見つめた


すると彼は無邪気な笑顔で微笑んだ


「新入生だろ?」


「・・・そうですけど先輩・・・ですか?」


「・・・まぁ、そうなるな、俺、3年だし」


彼は容姿とは異なる明るい性格で優しい笑顔を持っていた



だが、チチはすぐに警戒心を説くわけにもいかなく


「それで、私になんか用ですか」


チチは慣れていない都会の言葉で話を続けた



すると彼はズボンに入れていた手を抜くと、軽く頭を掻いた


「別に用はねぇけど、ただ珍しいと思ったんだ」


「・・・何が、ですか?」


「何がって、今の女子って皆スカートギリギリまで上げてんのにお前、上げてねぇし、髪の色だって染めんのが当たり前だろ?」


と普通に言葉を発した



だが、チチは彼の言葉にさらに警戒心を強めて


「・・・先輩は女の子のどこ見てるんですか?それに私は金髪に染めるのは絶対に嫌です」


と強く自分の意志を固めて言い放った



彼は少し驚いたような表情をした


そんな彼の様子に小首を傾げるチチ

彼はチチの表情を見るなり、微笑した


「・・・お前、変わってんな!そこら辺の女とはぜんぜん違くて面白ぇ」


そういって、笑い出した



チチは笑い続ける彼に少し腹が立ったのと同時に頬が赤くなった


「・・・別に私は普通の女子高生です!先輩見たいな不良の人に言われたくありません」


「・・・不良?」


彼はひとつの単語を聞き返した



チチはハッとすると口元を押さえた


「・・・不良なんて言葉、久々に聞いたわ・・・俺なんて不良の内にはいんねぇし、最近の不良つったら俺なんかより酷ぇのたくさんいっからな」


彼は微笑して言った


チチは怒られるかと思っていたのだが笑う彼に拍子抜けしてしまい


「怒んないんですか?」


と思わず聞き返してしまった



すると彼はチチの頭に片手を置いた


彼は優しく微笑んで


「何で怒んなきゃなんねぇんだ?今ので怒ることなんてねぇと思うぞ?」


そういうとチチの頭に乗せていた腕を退かした


すると彼の背後からは騒がしい声が聞こえ始めた


彼は少し後ろを振り返ると少し後退った


「・・・やべぇ・・・見つかっちまうな」


そう呟くと、チチの方に視線を移した



「・・・俺、あいつらに捕まりたくねぇから先いくな、話しかけられても俺のこと言うなよ」


と急いだように早口で言うと、軽く手を振り、走り去った



チチは彼の急いで走る後姿を桜の木から除くようにしてみると
小さく微笑んで


「・・・自分こそ面白ぇくせに・・・」


と呟くと、背後から追ってきていた人たちを見た



それは女性軍団でギャルのような子達ばっかりであった


髪の毛は金髪などの色染めをしていてスカートは本当にギリギリまでたくし上げていた

そして制服にはジャラジャラと飾り物をつけていて化粧は厚すぎるのではないかというほどに念入りにしていた


チチはそんな女の子を見るなり小さなため息をついた


たった一日を過ごすだけであんなに化粧さしてどうするって言うんだべか


と心の中で呟いた



そしてチチは彼女たちに話しかけられる前にすぐにその場を後にした

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