【 Goku × Chichi 】Short ss

□守るもの
1ページ/1ページ

新婚のある朝・・・






チチは目の前で食事をしている悟空に話しかけた


「悟空さ・・・今日も修行に行っちまうだか?」



すると悟空は口に食べ物を詰めながら
チチを目だけで確認すると


「あぁ・・・今日は少し遠出すんだ」


そう言って食べ物をごくんっ、と飲み込んだ



チチは俯きながら


「悟空さ・・・おらついていってもいいだか?」


と遠慮気味に言った




だが、悟空は口に詰めていた食べ物を戻しそうになった




悟空は何とか飲み込み咳き込むと


「だ・・・大丈夫だか!?」


そう言って悟空の背中を擦った



すると悟空は


「本当に言ってんのか!?チチ!!」


そう言って後ろにいたチチの方に振り返り、チチの手首を掴んだ



すると、チチは不安そうな顔で


「うん・・・ダメだか?」



すると、悟空は頭を掻きながら


「参ったな〜・・・」


といい、腕を組んで悩んだ



悟空は腕を組んだまま、チチを見て


「今日、行くとこはすっげぇ危険なんだぞ・・・チチには無理だ・・・」



と悟空が言うとチチは


「お願い・・・今日だけだから!」


そう言って悟空におねだりをした



そして、悟空は仕方なく席を立ち


「分かったよ・・・その代わり、オラの見える範囲にいろよ・・・」


すると、チチの顔からは不安が消え、満面の笑みで笑っていた



「分かっただ!!じゃあ即行で用意するだ!」



そう言ってチチは朝ごはんもろくに食べずにキッチンに入っていった



悟空は心配ながらもご飯をお腹に溜めた








それから、20分後






チチは身支度を済ませ、弁当を持って外へ出た



すると、悟空はキント雲に乗ってチチを待っていた


「悟空さ!お待たせ」


そう言うと悟空はキント雲に立ち上がり、チチに手を差し伸べた



チチは微笑みながら悟空の手を取り、足を掛けてキント雲に乗った



悟空はチチの肩を抱きながら


「絶対に離れんなよ?」


と悟空はチチに念を押した



チチは悟空の服を掴みながら


「分かってるだ・・・」


と言うと悟空は前を向き、キント雲を走らせた




チチは風の勢いに倒れそうになったが
悟空が肩を強く抱きしめてくれたおかげで倒れることはなかった








それから30分後・・・






「チチ!あそこだぞ!!」


悟空は大きめの声を出しながらチチに振り向いた



チチは悟空の顔を見ながら


「分かっただ!」


とチチも大きめの声を出した



すると、悟空は笑顔を向けると前に向き直り
キント雲に話しかけた


「キント雲!ここら辺で降りてくれ!」


と言うとキント雲はスピードを緩め降下した




悟空はチチをお姫様抱っこをして
キント雲から飛び降りた




悟空はチチを降ろしながら


「ここら辺にいろよ・・・」


そう言ってチチに軽くキスをすると
悟空はチチと距離をおき、修行を始めた




チチは芝生に腰を下ろし悟空の修行姿を微笑みながら見ていると
優しい花の香りがし始めた




花が好きなチチは香りがするほうへ行きたくもなったが
悟空の言葉を思い出し、立ち上がるのは止めた




だが、花の香りは強くなっていくばかりで
チチは少しだけならと思い、立ち上がった



悟空は修行に没頭していてチチには気づかなかった




チチは林に入ると花の香りのするほうへ向かった


すると、チチの予想は当たり
あたり一面は花畑のようにピンク色の花が散りばめられていた




チチは満面の笑みになり花畑に倒れこんだ




そして花を取るとお花の香りを感じた




チチはその花を耳元に付けて上半身だけを起こした





すると、ドシンッ、と大きな音が地面に響き渡った





チチは冷や汗を流しながら立ち上がった




そして、悟空の所に戻ろうと思ったが音は近くで鳴り響いていて
戻るのは遅いと考えたチチは身構えた




すると後ろから近づいていると判断して後ろを振り向いた




そこには鋭い牙を持ち鋭い爪を持っている
大きな熊が現れた



チチは身構えていた腕を下ろし、逃げる体制をとった


だが、大熊は大きな雄叫びを上げ、チチに鋭い爪を振り下ろした




チチはギリギリ交わしていたが
軽く肩を引っかかれていた


この熊は大きい割には素早い動きをしていた





チチが鍛えていたとしても修行を続けていないチチは
体が鈍っており、前のようには素早い動きが出来ないでいた





すると、大熊は雄叫びを上げるともう一度
鋭い爪を振り下ろした




それも先ほどよりも素早くてチチは避けられないと思い
素早く、受身体制をとり怪我を最小限に抑えようとして腕を頭の上で組んだ




だが、チチは悟空に抱きしめられ
避ける体制をとったがほとんど交わせなかった




そして大熊の鋭い爪はチチには当たらずに済んだが


「あ〜ッッ・・・」


と悟空の背中の肉は抉り取られていた




そして、花の香りでいっぱいだった花畑には
血の匂いが漂った




だが、悟空はゆっくりもしていられずに立ち上がると
チチの手首を掴んだ




悟空は痛みに顔を歪めながらチチに言った


「チチ・・・全力で走れよ・・・」


そう言って悟空はチチの手首を引っ張って
走り出した



チチは全力を出して走った




だが、悟空の背中を見る形になり
服は破れてズボンにも血が染み渡っていた



チチはぐっと涙を堪えながら悟空と全力で走った





だが、走る先にはもう一匹の大熊が立ちはだかった




さすがの悟空も傷ついた痛みで熱が上がりだし
倒れそうになりながらもチチを後ろへやり


「ちょっとそこで待ってろ・・・」


そう言うとチチは何も言う暇がなく
悟空は大熊の顔めがけて、パンチを入れた




だが、大熊にはそれほどダメージはなく
大熊も攻撃を仕掛けてきた



大熊は悟空目掛けて鋭い爪を振り下ろした



悟空は視界が歪みながらも大熊の攻撃をギリギリで交わしたが
頬や腕にはそれほど深くはないがかすり傷が出来た




悟空は仕方なく戦うのを諦め地上へと降りた


「チチ・・・空飛ぶからちゃんと掴まってろ」


そう言ってチチをお暇様抱っこすると慣れていない舞空術を使って
空に飛び上がった




すると大熊雄叫びを上げたが
諦めたように立ち去っていた




悟空は舞空術で森から離れ
安全な谷に降り立った




だが、降り立ったというか落ちたといったほうが正しいだろう




チチは悟空を支えながら着地した



そして、チチは悟空の背中を地面につけないように
上半身を軽く起こしながら


「悟空さ!大丈夫だか!?」


そう言うと悟空は辛そうに片目を開けながら


「チチこそ・・・平気だったか・・・」


と辛そうにチチの傷口の隣に手を置いた




だが、チチは悟空の弱まる声に心配になりながら


「おらは心配しなくても平気だ・・・悟空さ・・・ごめんな・・・おらが悟空さの言うこと聞かなかったから・・・」


とチチは泣き声になりながら謝った



悟空はチチの頭を撫でて


「チチ・・・泣くな・・・オラは何とか平気だから・・・」


そう言って悟空はチチの涙を拭いた



チチは悟空のその手を握りながら


「悟空さ・・・おらがキント雲、使ってもいいだか?」


そう言ってチチは涙ぐみながら言った



悟空は目を見開きながら


「チチ・・・おめぇ、怖いから嫌だって言ってたじゃねぇか・・・」


「でも、このままじゃ・・・悟空さが死んじまうだ・・・だから・・・」


お願い・・・


そう言って、チチは悟空にキスを落として、キント雲を呼んだ





チチだと来てくれないかと思ったが
キント雲は悟空とチチのもとにやってきた




それは悟空がチチに許しを得たからであった




悟空はチチに支えられながら起き上がると
ゆっくりと歩いてキント雲に乗った



チチは悟空を支えながら乗るとキント雲に座り
心の中で操った




すると、キント雲はスピードを徐々に上げながら空を駆けた



悟空はチチの膝の上に頭を乗せながら寝転がっていると


「チチ・・・すげぇじゃねぇか・・・」


と小さく笑いながら言った



チチは優しく微笑んで悟空の頬を撫でた


「おらだってやろうと思えばできるだ・・・だって悟空さの妻なんだぞ・・・」







そう言っていると、30分ほどで家に着いた






悟空は家についた頃は気を失っていて
チチが家に運びこんだ



チチは悟空を寝室へ運び、うつ伏せに寝かせた




チチは階段を下りて救急箱を取りに行くと
悟空の血がポタポタとドアから寝室まで広がっていた



チチは涙を流しそうになるも
今は我慢して寝室へとかけた




すると、悟空は意識を取り戻していた


「悟空さ!今は動かねぇでけろ!!」


と大きい声を出すと悟空は起こそうとしていた体を元に戻した



「チチ・・・オラは後ででも平気だからチチの先にやれよ・・・」


とうつ伏せながら言った




チチはそれでも言うことは聞かずに
悟空の足の上に乗った




そして救急箱をベッドの上に置いて
消毒液を取り出すと


「悟空さ!沁みるかもしんねぇけど我慢してけれな!?」


「チチ!待て!オラなら平気だから!!」


悟空は止めようとしたが
チチは悟空の言葉を無視して消毒液をかけた



「あぁ〜ッッ・・・」



悟空は拳に力を入れながらシーツを握り締めた




チチは軽く消毒液を拭き取るとガーゼを当て包帯を巻いた


悟空は消毒液を痛みでズキズキする傷口を何とか耐えた




「悟空さ・・・終わっただよ・・・」


そう言って悟空から降りて椅子に座った



悟空は軽く冷や汗をかきながら、仰向けになった



そして悟空はチチを見ると


「チチ・・・痛すぎっぞ・・・」


と悟空は言いながら肩眉を器用に上げながら
困ったような声で言った



チチは苦笑いをしながら


「でも、早くしてねぇと菌が入っちまうべ?」


と首を傾げた



悟空もつられて苦笑いすると


「チチ・・・すまねぇな・・・傷、痛ぇだろ?」


と真剣な声で言った



チチは自分の肩の傷口を見ながら


「こんなのたいしたことねぇだ!」


と明るく元気に言った



悟空はチチの傷も心配になったが
急な眠気に襲われた



悟空はチチに微笑むと
ゆっくり目を閉じて眠った



チチは悟空が眠ったのを確認すると
痛んでいた自分の傷の手当てをした



消毒は沁みたが痛みに耐えて
ガーゼを当て、包帯を巻いた






チチは傷の手当てが終わると悟空にキスをして
破れた胴着と救急箱を持って夕食の準備に取り掛かった









-------------------

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ