【 Goku × Chichi 】Long ss

□伝えなかった気持ち
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それから、チチはかれこれ済ませて、あっという間に今日が過ぎていこうとする




チチは珍しく眠りにつくことができなかった



そして、時間を見ればため息ばかりが漏れてしまう




だが、それも24時に回った頃……


今日の終わりを告げる時刻にチチは眠りについてしまった




昨日の寝不足ということもあってか、すやすやと眠っている




そこへ――――


ガチャリと寝室の扉を開けて、一人の人物が入ってくる





それは悟空の姿で、怒っている感じではなく……


ただ、静かな悟空




悟空は寝室の扉を閉めるとベッドへと腰掛ける



そして、寝息を立てている妻の髪を撫でるように梳く






けれど、悟空の手はピタリと止まって動かなくなる



何故なら、チチの涙の跡が目に入ってしまったから




悟空はチチの目尻へ手を伸ばすと、ぎこちない手で優しく触れる




「……チチ、ごめん…他の女なんかとできるはずがねぇって自分が一番知ってたのに……悲しませちまって」




悟空は眠るチチに語りかけて謝る



すると、チチはゆっくりと目を開けて口を開く




「まったく……本当だべ!どれだけオラを悲しませれば気がすむだ!」



「…っ、チチっ!起きてたんか!?」



「……悟空さがここに入ってきたときに起きたんだべ!」



「じゃあ何で寝てる振りなんてしたんだよ……」




悟空は語尾を声を小さくする



チチは悟空の質問にほんのり、頬を染めると答える




「…だって、なんて声かけて言いかわかんねぇし、第一、まだ怒ってるって思っただ」



「……怒ってるはずねぇだろ?それよりさ、本当にターレスとはなにもねぇんだよな、なんかあったんなら閻魔のおっちゃんにでも頼んでターレスぶん殴ってきてやるぞ」



「何もねぇだよ……でも…」



「でも………なんだよ」



「ううん、やっぱり何でもねぇだ」




そういってチチは悟空に微笑む



けれど、悟空は中途半端な言葉が嫌いなために聞き返されてしまう




「チチ、ちゃんと続き言えよ、途中まで言って他言わないなんて卑怯だぞ〜」



「………じゃあ言うけんど、怒ったらなんねぇだぞ」




チチはもう一度、念を押すと、悟空は頷く


すると、チチは意を決して一言




「……ターレスさがな、おらのことからかって、その……キスされただよ」



「っ!キスっ!おめぇにか!」



「おら以外、誰だって言うんだべ」



「………あの野郎、チチ、ちょっと待っててくれ……あの世、行ってくっから」




そういい、悟空は瞬間移動の構えを取る



けれど、チチは悟空の腕を取ると左右に首を振る




「……おらと約束したべ、怒んねぇって……」



「でもあいつ………」




おめぇのこと好きなんだぞ




そう言おうと思ったが、ターレスと会話しているときのことを思い出し、言うことが出来なかった






―――――――――――――




悟空は家を出てから荒野で暇を潰していた



けれど、修行をやるでもなく、ただじっとして荒野を見つめていた





そこへ、ターレスが跡を追ってきたのか、目の前へ現れる



もちろん、死んでいるために気はまったく感じなくて、少々驚く




けれど、悟空はターレスから目を逸らす





―――が、ターレスは言う





「………あいつ、てめぇが余計なこというから泣いてる」



「だったら、おめぇが慰めればいいだろ……」



「……あいつは俺に見向きもしねぇ………だから行ってやれよ」



「そんなの知るかよ……俺はここにいる」




そういって悟空は自分の場所から動こうとしない



すると、ターレスは地上へ降り立って、悟空の目の前で胡坐を掻く


悟空はただ、自分の手元だけを見つめる




すると、ターレスは小さく低い声で言う




「…お前がずっとここにいるって言うなら、俺はあいつをものにする……それでもいいのか」




そう尋ねるも、悟空はその問いに答えない


するとターレスは微笑し、一言




「俺はあいつが気に入った……お前がチチをほおって置くなら俺がもらう…」




その言葉にも悟空は微動することなく、反論もしない



それを最後にターレスはその場を立ち上がる




そして、去ろうとする





けれど、悟空はターレスに声を掛ける




「……明日の夜、帰る……そう伝えといてくれ……」




そういうも、ターレスは小さく笑うだけで何も言わずに消えていった



その言葉は聞こえていたのかも解らない





けれど、悟空はターレスを追うことなく、その晩は荒野で過ごしたのだった






―――――――――――――





そう、


ターレスにチチが好きというなって言う口止めなんてされてはいない





けれど、口止めされた錯覚に陥って言えなかった




そして瞬間移動をやめると、チチは一息つく





「まったく、悟空さはやることが無茶苦茶すぎるんだべ…引き止めるおらの気持ちもわかってけれ」



「わりぃ、わりぃ………それよりさ、明日…筋斗雲ででかけねぇか」



「……悟空さがデートするなんて…どういう風の吹き回しだべ?」



「いや…なんとなく、明日はチチといてぇし……世界回んのも楽しいもんだぞ」



「……せっかく悟空さが誘ってくれてるんだもんな、いかねぇ手はねぇべ」




そういって、チチは悟空の腕に自分の腕を絡ませる


すると、チチは悟空の肩へ、頭を預けて……



微笑みながら眠りについてしまう




悟空は眠りにつく早さに驚くも、相当悩んでいたのだろう、と思うと、そっとチチをベッドへ寝かせる




そして、悟空もベッドへ入ると、荒野で寝て寝たりなかったのか

それともチチの傍だから安心するのか



すぐに睡魔が襲ってくる




すると、悟空は優しく包み込むようにチチを抱きしめると



「おやすみ」



と、呟いて夢の中へと入っていくのだった





――――――――――――



最後まで読んでくださりありがとうございました!


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