【 Goku × Chichi 】Long ss

□違う女
1ページ/1ページ









ターレスもまた悟空を睨み付けるとお互いに睨み合う


そして悟空はチチを組み敷いているターレスに歩み寄ると静かな怒りを抑えながら一言




「ターレス、おめぇ、チチに何してんだ?」



そういう悟空の声は地の底から響くように低い声で怒りを含んでいるもの



チチはここまで怒る悟空を初めて目にして内心身動ぎしてしまう


けれど、ターレスは悟空の表情を見るだけで嘲笑うように微笑する




「……何って見たら分かるだろ…チチを犯そうとしてるんだ」



その言葉にチチは驚いて、悟空を見上げて誤解を解こうとする




「悟空さ、これは違うんだべ、わかってくれるべ?」



「……チチ、これで何を解れって言うんだ?」



「だからこれは、ターレスさが勝手に……」



「いちいち、寝室に来て…か?」



「それはターレスさがどっかに行っちまったと思って探しに来たらいたんだべ……おらには」




おらには悟空さしかいねぇし、好きになんてなんねぇだ




チチはその後の言葉を続けようとした


けれど、次の言葉によって遮られてしまう




「……言い訳なんて聞きたくねぇよ…それにさ最近チチがオラを修行に言っても怒らなくなった理由ってこれだったんだな」



「!違っ……」



そう言おうとしたが、初めて鋭い目で睨まれて固まってしまう


すると、ターレスはチチを組み敷きながら悟空を見て言う




「そうだ、俺とチチはいつもこうしてたんだ……残念だったな」



「………そうかよ、じゃあ勝手にしろよ……俺も違う女としてくっから」




チチに一瞬、目をやると寝室を出て行く


ターレスは悟空が去っていった方からチチの方へ視線をやる




すると、チチは硬直し、悟空が去っていった方を見つめながら静かに涙を流していた


決して声を上げて泣くような様子ではなく、ただ静かな涙



ターレスは少しばかり驚くとその涙を拭き取る




そして、チチを組み敷いている腕を退けるとベッドへ腰掛ける


ターレスはたまにチチへ目線をやるも涙は収まるどころか次々と溢れていく




すると、さすがにヤバイと感じたターレスは言う



「……その…遊びのつもりだったのに…悪い……」



ターレスは謝ったことに自分自身、驚いてしまう


けれど、言わなければ自分が嫌で仕方なかった




――――が


チチはターレスの声など聞いていないかのように悟空が去っていった方から視線をずらさない





すると、ターレスはベッドから立ち上がり、扉のほうではなく
窓のほうから飛び去っていく



けれど、チチは目をやるどころか、心の声が涙と共に零れる




「……悟空さ、悟空さっ…」



その訴えは空しく響いて消えていく




――――――悟空さがおら以外の女の人と…



おらしか知らない姿をほかの人にも見せるだか


全てを曝け出す行為を自分以外の人に



そんなの、嫌だべ……



ねぇ、悟空さ…


戻ってきて、おらのとこに



お願いだべ






その心の訴えさえも空しく、悲しい……





それから、チチは涙を流しながら眠りについてしまう


全てが夢であることを願い、望んで…目を瞑った

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ