【 Goku × Chichi 】Short ss

□幼いころの恋心?
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暑い夏のフライパン山――――




チチは熱いながらも根を上げずに太陽の下で花を摘む



だが、今日は特にムシムシと焼けるように暑く、チチの額には汗が浮かび上がり
頬へと汗が次々と伝っていく



チチは両手いっぱいに花を積み終わると、花を草原へと置いて汗を拭う


だが、ふと、空を見上げている自分に気づいて小さく笑う




そして花畑へと体を預けると、太陽の光で眩しいながらも青空を見上げる




「……悟空さ、いつ迎えにきてくれるんだべなぁ?」



そう呟くと、ゆっくりと目を瞑る


だが、不意に自分に影がかかってゆっくりと目を開ける



すると――――



「よう、チチ!こんなとこで何してんだ?」




と、影になった正体は悟空が自分を覗き込んだからで……




チチは驚いて勢いよく起き上がる


すると、悟空は寸のところで避けて、



「あっ、危ねぇだろ?いきなり起き上がんなよ」



悟空は額に掻いた汗を拭う




だが、チチは今いる状況をつかめなくて、悟空を疑いながらに尋ねる




「……本当に、悟空さ…だか?」



「へっ!?当たり前じゃねぇか?オラじゃなかったら誰だって言うんだよ」




悟空は素っ頓狂な声を上げるものの、得意げな笑顔で大きく笑う



その笑顔にチチも釣られるように微笑む




「…やった〜ッ!悟空さ、おら嬉しいだ〜!」



そういうと、悟空の小さな胸へと飛び込んでいく


悟空はチチの両脇を抱えながら、わわっ、といって背後の花畑へと体を倒す



チチに衝撃はなかったものの、悟空にはあったみたいで……




「チチ〜、おめぇ相変わらず無茶苦茶すんなぁ〜」



悟空は苦笑いをしながら、チチを隣に座らせると、自分もその場へと起き上がる



だが、チチは悟空の腕に絡みつくと、嬉しそうに幸せそうに笑う




「……悟空さ、やっと迎えに来てくれただな」



そういって笑うも、悟空はくっ付かれるのが嫌なのか、片眉を器用に上げて、困ったように苦笑い



そして、チチの腕を離そうと少しばかり距離を置こうとする




「チチ〜、オラ、くっ付かれるの苦手なんだ〜……だから離してくんねぇか?」



「…やんだ〜、悟空さ、おらにこうされっとドキドキするんだべ……もう照れる悟空さも可愛くて大好きだべ!」




そういって頬を染めながら妄想を繰り返す



だが、悟空には難しい単語ばかりが出てきて小首を傾げる




けれど、楽しそうに話すチチの邪魔はできなくて、聞きたいことをそのまま喉へと押し込む



だが――――


口ずさんでいるのにも限度というものがあり、悟空はチチに抱きしめられている腕が暑くなって……




悟空はチチの腕を抜けようと試みる




「チチ〜、頼むから離してくんねぇか?オラ、暑くて我慢できねぇ……」



「……わかった、おらも少し暑いから離してやってもいいけんど……」



その言葉にチチは一旦、言葉を切る



悟空は小首を傾げると、続きの言葉を尋ねる



「何でもしてやっからさ、早くしろよ…」



「……何でもしてくれるって言っただな!じゃあ、悟空さ、離してやる代わりにおらのほっぺにキスしてくんろ」



チチは頬を真っ赤にすると、恥ずかしがるように小さく笑うと、言っちゃったべ、と一人で照れる



だが、悟空にはまたしても訳のわからない単語が出てきて……


小首を傾げてしまう




「…なぁ、チチ〜……そのキス?っての、何だ?」



そう尋ねると、チチは驚きで目を見開く



「悟空さっ!キスもわかんねぇだか!?」



「おう、聞いたこともねぇ……何なんだ?」



「………じゃあ、おらがお手本さ見してやるから、覚えてな!」




悟空は軽くうなづいて、おう、と短く答える



だが、チチは顔を真っ赤にすると、自分の髪の毛を払って……

悟空の頬へと小さな唇をちょこんと当てる



チチはすぐに照れると唇を離して顔を真っ赤にする



「やんだ〜、おら、こっ恥ずかしいだ〜……」



そういって照れるものの、悟空は思い出したように大きく笑う



そして、チチの照れている横顔を見つめると口を開く




「チチ、オラ、キス?っての知ってっぞ!亀仙人のじっちゃんの部屋で見たんだ!……でもオラが見たのはこっちだ」



そういって、ニカッ、と笑うと、チチの前へと回って……



チチは、きょとん、と呆然として見つめていると、

悟空の顔が近づいてきて……



チチは目を閉じる暇もなく、唇へ悟空の唇が触れる



それはすぐに離されると、悟空は笑っていて……



「オラが見たのはこうだったぞ?チチの言ってる、キスってのと違うのか?」



そう尋ねるも、チチはすでに固まったように微動だにしない


悟空は小首を傾げると、チチの腕をすり抜けて……




「お〜い、チチ〜?どうしたんだ〜〜?」



そう、尋ねるとチチは急激に顔から火が出るほどに真っ赤になって……


両頬を両手で覆う



そして、悟空から顔を逸らす



「やんだ〜、おらまだ子供なのにキスしちまっただ〜!こっ恥ずかしいべ」



チチは甲高い声を上げるものの、口元は緩んで笑っている



悟空は益々、わからずにいると小首をかしげる




そしてチチの顔を覗き込もうとすると、


チチが照れながらも強い力で悟空を吹っ飛ばす




悟空はいきなりのことで身構える術がなく、そのまま飛ばされて、木へとぶつかる



そして、頭に痛みを感じながら固く瞑った目を開ける





だが、目に映ったのは―――


先ほどのような蒸し暑い場所ではなく、殺風景な神殿




悟空は神殿へ帰ると、今まで何をしていたのか?


そうして頭に痛みが走っているのか?



全てがわからずに綺麗に消えていた




悟空は靄のかかる思いに小首を傾げるものの、さほど気にすることもなく……



だが、それから数日の間――



悟空は名も知らない感情へと突き動かされたのだった





それは痛みでもなく、靄なんかでもなく……


小さな胸の鼓動……



そして何かが引っかかるような熱くなる思い




だが、悟空は悩むものの、何も思い出せずに

その感情は少しずつだが収まったのだった………




それを神が見守っているとも知らずに―――





―――――――――――――



10000HITありがとうございます!



これからもどうぞよろしくお願いします。




なお、こちらの小説は10000HITという記念小説ですのでご自由にお持ち帰りしていただいて結構です。


報告などは任意でいいのでどうぞよろしくお願いします。

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