【 Goku × Chichi 】Short ss

□幼い頃からの想い
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【幼い頃からの想い】




―――龍珠高等学校、放課後にて―――



帰りのHPが終わったころ


生徒たちは次々と教室内から消えて下校していった

残されている生徒は清掃や部活などでまだ教室内はざわついているころ・・・



カカロットとチチは小さいころからずっと同じ幼稚園や学校に通っていて
一般世間で言う幼馴染の関係であった


だが、いつも二人でいる関係から友達や知人などにはいつも冷やかされる中で
二人の関係は曖昧な中で一向に進む気配はなかった


いわゆる友達以上恋人未満というやつだ


そんな二人が教室の窓から校庭を見つめていた


最初に話を切り出したのはチチであった



「カカさ、今日は先に帰ってていいからな」


「何か用事でもあんのか?」


「ぅん、今日は隣のクラスの男子に少し呼ばれてて、行かなきゃなんねぇから」


チチは高い空を見上げいった


カカロットは少し顔をゆがめた

だがチチの話に深くかかわろうとせず・・・


「・・・ふ〜ん、じゃあ俺は先に帰ってっから」


少し冷たく突き放すように告げた


カカロットは何を言われるかなど当にわかっていたが何も口出しをせずにいったのだ


チチはカカロットが少し不機嫌な様子に気づいていたが思い当たるはずもなく・・・


「じゃあ、また明日、学校でな」


チチはカカロットに告げるとそのまま立ち去った



カカロットは去ってゆくチチの背中を見つめていたがふっと顔を避けると
もう一度、窓から外の風景を見つめた


「・・・鈍感」


カカロットは小さく悪態をつくとすでに誰もいなくなった教室から立ち去った





―――チチは呼び出された屋上へと早々と上っていった―――


約束の時間より30分ほど早かったのだが待っている間の時間に何かをすることもなく
暇な時間をつぶすのは屋上が一番適していると思って屋上へと向かった


そしてチチは屋上への扉を開けた


するとまだ約束の時間になっていないにもかかわらず、チチを呼び出した男子がフェンスから
外の景色を見つめていた


チチは遠慮気味に歩み寄り、男子の肩を優しく叩いた


すると男子は少し驚いた表情をして振り返った


「・・・まだ約束の時間じゃないのにどうしたんだよ」


「・・・えーっと暇だったから屋上で待ってたほうがいいだなぁと思って」


チチは少しうつむいて遠慮気味に告げた



男子はそんな姿のチチを見ると小さく笑った


「・・・そっか・・・だったら俺の言いたい用件も早く済むしそのほうがよかったけど」


そういいながら男子はチチの肩に腕を回して


「チチはさ、本当に俺が呼び出したわけってわからないんだよね?」


と小さな声で呼びかけると、チチは小さくうなづいた



「そっか・・・じゃあ少し驚くかもしれないけど言うな」


男子はチチの肩から腕を退かして、真っ直ぐに見詰めた


チチは何か驚くようなことでもするのかと思いながら小首を傾げて男子を見つめていると
急に抱きすくめられた


チチは驚きのあまり、少しの間硬直すると男子は話を切り出した


「俺、実はずっとチチが好きだったんだ・・・だから付き合ってくれない?」


男子は冷静に告げた


チチはその言葉にハッと我に返り、男子を振り払おうと抵抗した


「・・・ちょっと待ってけれ!離してけれ!」


チチは焦りのあまりに息を切らして言った


すると男子はそっとチチを解放した

チチは危険信号が走り、少し距離を置いた


そして息を整えながら真っ直ぐに男子を見詰めた


「・・・おら、他に好きな人いるからごめんなさい!」


と大きな声を出して、頭を下げるとすぐに屋上から駆けていった



そしてたどり着いた場所は教室の前



チチは驚きのあまり少しの息切れを繰り返していると教室の扉が開かれた

チチは小さく肩を震わせると扉のほうへ振り返った



そしてそこには先に帰ったと思っていた「カカロット」の姿があった



チチは驚いて後退るとカカロットに手首をつかまれた


カカロットはチチを鋭く睨みつけるように見つめた



カカロットは自分の掴んだ手首に視線を移すと


「・・・来い」


と呟くように言うと強引にチチの腕を引っ張った



教室に入るなり、カカロットは壁際にチチを押さえつけると逃げられないように壁に両手をつけて押さえ込んだ


チチはカカロットが影で喧嘩などをしてることは知っていたが強引な行為をされたことは初めてだった

チチは少し動揺しながらもカカロットを見つめ返した


「カカさ、どうしただ?そんなに怒って」


「・・・・・・それより、お前、男に告られてどうしたんだよ・・・嬉しかったか?」


カカロットは低い声で言った



だが、チチには少し悲しそうな声に聞こえて、少し目を逸らしたがもう一度見つめて


「・・・別に嬉しくなんてないだ、好きな人でもないのに好きって言われてなんで嬉しくなんなきゃなんねぇんだ」


「・・・・・・じゃあ好きな奴はいるんだな?」


と険しい表情は変えることなく言った



チチは少し頬を染めた



「・・・・・・いるだよ・・・ずっと好きで好きでたまらないくらいの人がいるだ」


と名前を告げることなく、素直に告げた



カカロットはチチの言葉を聞くなり、少しの動揺をすると目を逸らした


そしてチチを逃がさないようにしていた腕を力なく下ろした



その腕をズボンのポケットに入れるとチチに背を向けた



「・・・・・・あっそ・・・じゃあ俺帰るから」


そういうと、カカロットは自分のバッグを持ち直すと教室を出て行った


チチはカカロットの後を追うと廊下へと飛び出して後ろからカカロットを抱きしめた


「ずっとずっと好きなのはカカさだよ・・・おらの初恋の人だべ」


とこれまでにないくらいに顔を真っ赤にして告げた



カカロットは驚いて目を見開くと持っていたバッグを落とした


そして真っ白になっている思考で考えを巡らせると体が勝手に動いたように振り返ってチチを抱きしめた



チチは痛いくらいの力で抱きしめられたもののその痛みさえも嬉しくなり
自分も負けないくらいにできるだけの強い力で抱きしめた



「チチ・・・さっき告られた時、何もされなかったか?」


「大丈夫だべ・・・おら逃げてきただけだから」


「・・・そっか・・・よかった・・・」


そういうとカカロットはチチを解放して
チチも同時にカカロットを抱きしめていた腕から力を抜いてお互いに見つめあった



するとチチは小さく微笑んだ



「・・・カカさ・・・返事聞いてもいいだか?」


と言い終わると同時に口付けられた



チチは驚いて目を見開いたものの、すぐに目を閉じた

そして何度も角度を変えて口付けると唇を解放した



再びチチはカカロットを見つめた



「それで返事は?おらのこと好き?」


チチは小首をかしげ言った



だがカカロットは微笑して


「・・・さぁな?」


と告げるとチチを抱きしめた



するとチチは幸せそうに笑って抱きしめ返した


「意地悪・・・」


と呟きながらも幸せそうだった






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