【 Goku × Chichi 】Short ss

□儚く散る初恋
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俺とチチは幼い時からずっと近くにいて何よりも近い存在だった



けど、いつの間にかチチは俺から離れて行き
一番近くにいた存在が俺ではなくなった



俺がチチの全てを知っていると思っていたのに
一番知ることが出来たのは孫悟空というチチの男だった








プルルルルルルッ----------



とカカロットの携帯が鳴り響いた




カカロットは鳴り響く携帯をパーカーのポケットから取り出すと
携帯画面を見た



するとそこに表記されているのは


『チチ』


であった



カカロットは通話ボタンを押すと耳元に当てた


「もしもし?」


とカカロットが先に口を開くと


「カカさ!久しぶりだな・・・二ヶ月ぶりくらいだべ?」


「・・・・・・あぁ・・・」


「あぁ・・・じゃねぇべ?連絡くれればいいべ?」


「別に用なんてなかったからかける必要なんてない」


「まったく・・・まぁいいだ!それよりカカさ、今暇だか?」


「・・・・・・・・・忙しい・・・」


「嘘つくでねぇ!それに忙しかったとしてもまた喧嘩だべ?」


「あぁ、今まで喧嘩してた・・・」


「・・・喧嘩ばっかしてるでねぇだぞ?そろそろ就職でも考えるべきだべ?」


「・・・俺を受け入れる会社なんてねぇよ」


「だったら喧嘩やめるだ!そうしたらカカさは頭良いからどこの会社も欲しがるはずだべ」


「・・・そうか?でも俺、高校ずっと行ってなかったからどこもほしがんねぇぞ」


「・・・そういえばどうしてこなくなっただ?」


とチチが聞くとカカロットは少し黙って


「そんなことより、チチは俺に用があって電話したんだろ?」


「あっ!そうだっただな・・・あのさ、おら、小さいときに遊んでた公園にいるからさカカさ来てくれるだか?」


「・・・・・・何だよ・・・今言えば良いじゃんか・・・」


「直接言いたいことがあるから言ってるんだべ!?んじゃあ待ってるからぜってぇくるだぞ?」


「・・・・・・多分な・・・」


「じゃあ待ってるだな・・・?」


「あぁ、またな」


と言うとカカロットは携帯を切った




そして携帯をポケットにしまうと後ろに振り返って公園まで走りだした



喧嘩をしていて足を打ったのか膝がズキズキと痛んでいたが
出来るだけの速さで走った



すると10分ほど走ると公園が見え始めた


そして公園内に入るとチチはベンチに座って
携帯をいじっていた


カカロットはそんなチチに歩いて近づいていると
チチは気づいたのかすぐに携帯をしまって鞄の中に入れた


チチはベンチから立ち上がると小走りで近づいてきて


「カカさ、早かっただな!」


と走りながらチチは言った



カカロットはズボンのポケットに手を入れながら


「近くにいたからな・・・」


「そうだっただか?それにしても本当に喧嘩してただな」


と言うとバックからハンカチを取り出して
カカロットの口元に当てた


だが、カカロットはチチの手を払うと


「別にいいって・・・痛くねぇから・・・」


「何言ってるだ!菌が入ったら大変だべ!?」


と強気で言うともう一度、ハンカチを当てた



カカロットはチチの勢いに負けて仕方なく
チチのハンカチを取ると自分で当てた


「まったく・・・乱暴になっちまって」


「・・・別に良いだろ?」


「・・・よくねぇだ!もう少し優しくねぇと彼女もできねぇだぞ?」


「俺には必要ねぇよ」


と少しチチから目線をずらしていった



するとチチは小首を傾げたが用事を思い出したのか


「そういえばな!カカさ、おら悟空さと結婚することになっただよ!」


と照れくさそうながらも嬉しそうな表情で言った



カカロットは驚いて固まったが冷静な振りをして


「そうか・・・良かったじゃん・・・」


とチチに背を向けていった


そして腕時計を見る振りをして


「俺さ、用事あっから行くな?」


と言ったがチチはカカロットの手首を掴んで


「ちょっとくらい、良いでねぇか?」


と引き止めた



するとカカロットはチチの方に振り返って


「少しだけだからな?」


と困ったように笑った



チチは嬉しそうに笑うと


「それでな、悟空さとの結婚のことなんだけどな、カカさも来てくれねぇだか?」


と言うとカカロットの顔は一気に曇った



「・・・わりぃ・・・それ、無理だ・・・」


「なして?」


「・・・・・・俺さ、正直に言うけどチチと悟空の結婚だって認めたおぼえねぇし、二人で幸せになるのは望めねぇ・・・」


と言うとカカロットはチチに背を向けた



チチはカカロットの背中を見つめて


「なして?どうして認めてくれねぇだ?」


「・・・・・・・・・・・・だから・・・」


「・・・えっ・・・?」


とチチはカカロットの声が小さすぎて聞き取れずもう一回尋ねた



するとカカロットはチチの方に振り向いて腕を引っ張ると
チチを逃げられないように強く抱きしめた


「・・・!ちょっと!カカロットさ!」


と言って振り払おうとしたがチチはカカロットの言った言葉で抵抗をなくした


『・・・ずっと、チチが好きだったから・・・俺はあいつとチチが幸せになるのは許せねぇんだ・・・』


と悔しそうに言ったのだ



そしてカカロットはチチを開放するとチチの目を見つめて


「・・・許せねぇけどおめぇが幸せならそれで良い・・・・・・ただおめぇが本当に好きだった」


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・じゃあな」


と言うと、カカロットはチチの頭を引き寄せて唇にキスを落とすのではなく
おでこに優しくキスを落とした


そして軽く自分の胸に引き寄せるとすぐに放して
カカロットはチチに背を向けて歩き出した



チチは呆然とカカロットの背中を見詰めながら


「カカロットさ・・・おらも小さい頃からずっとカカさが好きだっただよ・・・」


と呟くと小さな涙を流した








好きだった・・・


チチだけが・・・



純粋に愛することができ、本気であいつだけが欲しいと感じていた




けど、結局選ぶのは俺ではなく孫悟空を選ぶんだよな・・・



俺のほうがずっと前から一緒に居て

あいつよりチチのことを知っていたのに



いつかは追い越されてしまったんだ・・・




チチだけが本気で好きだった・・・



どんな女よりも・・・


どんな人間よりも・・・



あいつだけが欲しかった




だけど、この思いは儚く散ることしかできなかった・・・






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こちらの小説は4000hit記念としてH23.4.20までフリーにしておきますので
どうぞお持ち帰りしていただいて結構です。


報告は任意なのですが報告していただけると嬉しいですww


それから4000hitありがとうございます!


これからも精一杯頑張っていきますので今後ともよろしくお願いします。

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