【 Goku × Chichi 】Short ss

□現実
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セルゲーム戦、直後





玄関の扉が勢いよく開いた




すると、今、一番会いたい人が
そこには笑顔を向けて立っていた


「たでぇま・・・チチ」



と勝ち誇ったように笑いながら



その瞬間、チチは悟空に抱きついて


「おかえり・・・悟空さ」


と緊張が解れて涙を流した



悟空はしっかりと抱きしめ返して


「そんなに泣くなよ・・・ちゃんと帰ってきただろ?」


そう言ってチチの頭を撫でた



「おら、帰ってこねぇかと思ってただ・・・死んじまうって思ってただ」


「・・・オラがそう簡単に死ぬわけねぇだろ?」


とそう笑っていたが、目はまったく笑っていなかった


だが、チチは悟空の表情を見ていなかったため
わかっていなかった





そう・・・


現実というものを・・・




「なぁ?悟空さ?おらたちは平和に一緒に暮らせるだな?」


とチチは涙の溜まった目で悟空を見上げた





悟空は作った笑顔で笑い


「・・・あぁ、これからは・・・ずっと一緒だ」


と必死に嘘を隠し通そうとした



だが、さすがにチチも悟空の異変に気づき


「どうしただ?悟空さ、おらに隠し事してるだか?」


「・・・するはずねぇだろ?オラはチチに嘘なんてついたことねぇだろ?」



チチは少し考えると


「だな!悟空さが嘘つくはずねぇだ!」


そういうとチチは嬉しそうに笑っていたが
悟空は作り笑いしかしていなかった



「悟空さ・・・少ししゃがんで目、閉じてけれ?」


「何で?」


「いいから、言った通りにしてけろ」


「・・・あっ・・あぁ」


そう返事を返すと悟空は少しチチと離れて
膝に手を置いて、しゃがみ、目を閉じた




チチは嬉しそうに微笑んで
悟空が目を閉じたことを確認するとゆっくりと口付けた



悟空は驚いたがチチの気持ちと一緒に
口付けを受け入れた





最初はチチがリードをしていたが
最終的には悟空がチチの後頭部を抑えてリードをしていた




「・・・ん・・・っ・・」


チチは息苦しくなり始めて
悟空の破れた服を握り締めた



そして、離れる瞬間に悟空は


『愛してる・・・チチ』


そう言って悟空の姿は透明になり
すり抜けていった




チチが握り締めていた手には
血が付いていたため、夢でないことははっきりしていた




だが、悟空の姿はす〜っと
消えていってしまった




チチは手を握り締めて戸惑いながら


「悟空さ・・・?」


と囁くような小さな声で言った



だが、悟空の明るく優しい声は聞こえず
辺りは静まり返っていた



チチは状況を掴めずにぼーっとしていると
玄関の扉がゆっくりと開いた




そこには悟空によく似ている息子の悟飯の姿があった




だが、悟飯しか立っていなくて
悟空の姿はなかった



そして、悟飯の口からはとんでもない事実が伝えられた




『お父さんはセルとの爆発に巻き込まれて・・・死にました』




・・・っと・・・





悟飯は辛そうに伝えた



チチは何かの冗談だと思って小さく笑い


「嘘はいけねぇって言ってるべ?だって今さっきまで・・・そこにいただぞ」


そう言って悟空が立っていた位置を指差した




だが、そこには誰の姿もなくて・・・


すると、チチは涙腺が一気に緩み大粒の涙を流した




床に伏せて顔を隠しながら泣いていた




だが、悟飯はチチを見守りながら


『お父さんはお母さんに言ってほしいことがあるっていってました』



それは、すまねぇ、だそうです




悟飯は切なそうに笑い、チチの背中をさすった





それから、数日は元気が無かったチチだが
生命が宿っていることを知ったその日からは元気を取り戻し、幸せそうに笑うようになった










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