NOVEL

□一回しか言わねぇからな
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男女関係なく可愛がられている千鶴。
原田はいつの間にか教師としてではなくて、一人の女として見ていた。



千鶴が同世代の男子と話している姿を見て嫉妬して、千鶴を用事もないのに呼び出して男子から遠ざけたり。
親しい男子を体育の授業で容赦なくしごいたり。
他にも沢山、原田は千鶴と親しい男子に中学生並みの嫌がらせをしていた。

それは千鶴が好きだから仕方のない行動だった。



原田は教師と生徒という立場を少なからず気にしているわけで、中々手が出せない。
どんなに千鶴が近くにいても手が出すに出せない状況に耐えていた。



「いつまで耐えられるか・・・。」



ため息をつきながらボソッと呟く原田の背後に誰かが近づいてきた。
足音は原田の後ろで止まった。

原田がゆっくり振り向くと、そこには可愛らしい笑顔を浮かべる千鶴が立っていた。
腕にはきれいな花束を抱いていた。
薄いピンクの花に、黄色の花、少しだけだが甘い香りもした。



「原田先生、こんにちは。ため息なんてついてどうかされたんですか?」
「ああ、千鶴か。・・・いや、何でもないから気にしなくていい。」


原田が笑いながらそう言うと千鶴も小さく微笑み、「それなら良かった。」と言った。
そして花束から一本花を抜き取り、原田に差し出した。

ピンクの花、シンピジューム。



「・・・俺に?」
「はい。これはシンピジュームという花で、花言葉は『飾らない心、誠実な愛情』。いつも原田先生は自分の気持ちに正直で、とても誠実です。だからこの花、原田先生にピッタリだなって思って。」


恥ずかしそうに笑いながら千鶴は原田に言った。
原田は自分で自分の頬が一瞬で赤くなるのが分かった。


いつも自分ばかりが千鶴を見ていたのかと思っていたがそれは間違いで、千鶴も自分のことを見ていてくれた。
今、千鶴の瞳には原田しか映っていない。
それだけのことなのに、どうしようもなく嬉しくて。


『愛している。』、そう告げたくてたまらなかった。




「千鶴。」
「はい、何ですか?」
「一回しか言わねぇからな。・・・―――――。」


千鶴の頬は一瞬で、熟れたりんごのように赤く染まった。




『愛してる。』







End.



【執筆者コメント】
こんなに素敵な企画に参加できたこと嬉しく思います!
原千は私の大好きなCPなのでぜひ皆さんにも読んで欲しくて書かせて頂きました。
とても楽しかったです!

ありがとうございました!


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