NOVEL
□一口くらい いいだろ
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「…おい…千鶴、何飲んでんだ?」
「新発売のジュースですよ」
「……奇妙な色してんな…」
「そうですか??」
そう言われてとジュースを口から話し千鶴はまじまじと色を確認して、普通ですよ、とどう見ても普通ではないがそう答えた。
それからまた口をつけてジュースを飲み始める。
「それ、少しくれねぇか?」
「へっ!?」
「……なんだよ。一口ぐらい、いいじゃねえか。」
「でっ…でも。」
「理由でもあんのか?」
俺に『理由』と言われて千鶴は少々考え込んだような素振りを見せた。
そして今思い付いたように
「私、今日風邪っぽいので!!」
素直なことはいいことが、嘘をつくのが下手すぎるのもどうかと思う。
「…お前なぁ……」
「ですから駄目ですよ!?」
「なんだよ赤くなっ…」
__そういうことか。
俺は盛大に溜め息をついて千鶴の手にあるジュースを無理矢理取って残りを全て飲み干す。
「………〜っ!」
「風邪は人に移すといいらしいからな」
そう言って千鶴の後頭部を押して手を腰に回せば距離があと数センチにまで縮まりこいつは顔を赤くする。
「かっ、風邪なんて!」
「じゃあなんで俺が飲んじゃ行けねぇんだよ?」
「それはっ…!」
「……こんなこと今更なんだよ。」
でも、と反論しようとする言葉を遮って
「それとも、間接より直接の方が良かったか??」
と言えばさらに赤くなり茹でタコとか、トマトみたいになる。
「ほら、どっちだ??」
「……意地悪ですよ!」
「今更そんなもんに恥ずかしがってるお前がいけねぇんだよ」
2人の距離は今、0p。