05/12の日記

23:39
襲撃
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とある日の夕方−
「おい、夕食だ。」
「ありがとうございます。おいしそう…」
「1時間後、取りにくるからそれま『8時の方向に敵船発見ー総員準備ー!!』…」
「敵船…」
会話の途中でけたたましい警鐘の音と共に見張り役の嬉々とした声が船中に響いた。
「お前はここにいろ。絶対に外へ出ようなんてするな。」
少し驚いている様子だが、別段怖がっている様子はないコイツにくぎを差すと、すぐに部屋を出る。愛用しているピストルを片手に甲板へと上がる。すでにクルーのほとんどが集まっていて、それぞれが自分のエモノを手にしていた。久々の戦闘に誰もが沸き立ち、今か今かと待っている。その中心に一番愉快そうに口元に皮肉ったような笑みを浮かべ船長が現れた。「お前ら、久々の獲物だ。派手にやって来い。」
船長の言葉にクルーたちが呼応するように雄叫びを上げて、近づいてきた敵船へと向かった。



結果としては、勝った。
が、快勝とは言えなかった。
敵にガスを操るガスガスの実の能力者がおり、辺りに毒ガスが振りまかれた。毒ガスと言っても、死に至らしめるようなものではなく、神経をマヒさせるような神経毒のガスで、身体が思うように動かせない。
神経毒を使用しているのは、大方生け捕りにして賞金首の船長以外はヒューマンオークションで売るつもりなんだろう…
痺れる身体を無理矢理動かしながら、目の前の敵と戦っていると、後ろに人の気配を感じた。振り返ろうとするが、身体が思うように動かず、とっさに身体を丸め攻撃を受けるつもりになっていたが、一向にその様子がない。
反射的に瞑っていた目を開くと、襲いかかろうとしていたらしい男がその体勢のまま白目をむいて力なく倒れてきた。
その男が倒れたことで、ソイツを倒した人物が姿を現す。その姿を見て、驚き目を見開いたまま言葉をもらす。
「なんで、お前が…」
「これでもある程度の技量はあるつもりです。部屋に隠れてるだけじゃどうにもならないし、こんな私を乗せてくれているお礼でもッ」
話の途中で割り込むように突っ込んできた敵を急所に的確に蹴りを入れて攻撃し、昏倒させた。
「大丈夫ですか?」
「あぁ…」
「じゃあ、残りを早く倒さないとね。ここ空気スッゴく悪いし。」
「お前…?」
口調の変化に少し驚いて顔を見ると、少し冷めた目をしながらも何だか楽しそうに口元がつり上がっていた。それを見て、コイツは俺たちに似ているようだと感じた。俺のもとを離れると、駆け出し敵に胸元へと飛び込むようにして倒していく。毒ガスのことなどまるで関係ないと言うように動き回る。
「調子乗ってんじゃねぇぞ、このアマ!」
「……ッ」
しかし、途中体格のいい男が思い切りアイツを殴った。堪えきることなど出来ずに思い切り飛ばされる。受け身を取ろうとするがそれよりも早く壁へと激突した。
「大人しくしてろよ。お前みたいなのは意外に高値で売れるんだからよ。」
気持ち悪い笑みを浮かべながら、近づいてくる男を睨み付けているが、背中を強打したためか激しく咳き込み立ち上がれないでいた。

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