04/07の日記

06:19
ペンギンの監視
---------------
暖かな日の光が医務室の窓から入り込んできたのを感じ、菜摘は目を覚ました。
ぼーっとしたままの頭で、見慣れない部屋を眺め、それから自分の今の状況を改めて理解する

「本当にこんなことになっちゃったよ…そういえば…」

コンコン

「あ、はい」
「入るぞ。」

ノックのあとに聞いたことのない男性の声がしたかと思うと、ここのクルーの証である白いつなぎを着て、防寒帽をかぶった男性が入ってきた。
ローと同じように菜摘は彼の存在を知っていて、驚いて声を出しそうになったが、抑えた。

「えっと、どちら様でしょう?」
「俺はペンギンだ。この船の副船長兼航海士だ。」
「ペンギンさん、ですね…ペンギンさんは何をしにここへ?」
「船長から話は聞いた…お前が船に乗っていることは許可するが、正体の分からないお前を好き勝手にさせることは認めない。」
「はい…」
「そのため、お前をここに監禁し、俺とあと2人のクルーとで監視させてもらう。」
「はい、分かりました。」

少し低めで冷たい響きを含んだ声がよどみなく、端的に話を伝えた。それに対し、当然のことだと思いつつ菜摘が何も抗議せずに受け入れた。
それが意外だったのか、ペンギンが帽子の奥で驚いたらしく、目を見開いたが、そんな様子には菜摘は気がつかなかった。

「お前…」
「あ、枷とかつける必要があるんですか?」
「!!?お前、奴隷か何かだったのか?」
「いえ、普通の一般人だったと思いますよ?」
「………つけるつもりは、ない。」
「そうですか…」

さらに菜摘の口から出てくることなど想像もしていなかったためにペンギンは帽子の下で戸惑いの表情を浮かべた


「それより、飯だ。」


話を変えようと、持ってきていた菜摘の朝食を差し出した。
コックに頼んで作ってもらったパンやスープなどの簡単な朝食を受け取り、菜摘な食べ始めた。

「すいません。迷惑ばかり…」
「ヘタに自由にして、勝手なことをされるよりマシだ。」
「そうですよね、やっぱり…。でも、こんな私にもおいしい料理を持ってきてくれるんですね。」
「……?」


菜摘の言葉に妙なひっかかりを覚えつつ、仕事のあったペンギンは食べ終わった食器を回収し、部屋を出ていった。

もちろん鍵はきちんとして。



…ペンギンにとって菜摘の第一印象は訳が分からないヤツだった。

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ