SHORT Q STORY

□好きの大きさ
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「小夜子っち」



薄暗い部屋、ベットに横になっている男女。



『んー?』



「俺の事どのくらい好きっスか?」




男、黄瀬涼太は突然そんなことを言ってみせた。




『こんくらい』




女、白姫小夜子はその質問に余計な疑問を持たず素直に答えた。





「ちっさ…!!」




天井に向かって示されたのは親指と人差し指を開いた手。
黄瀬は両手一杯開くのを期待していたため意気消沈。





『じゃあ黄瀬くんは私の事どのくらい好き?』



「そりゃもう…このぐらいっス!!」



そう言って大きく両手を広げるとドヤついた顔をした。




『んーじゃあやっぱこのくらいかな』




改めて示されたのは先程親指と人差し指を開いた手をもう片方でも作りそれぞれの指を合わせできた輪。





「さっきと変わんないじゃないっスかぁ…」




黄瀬はどちらにせよ小さいのに違いないその大きさにさらにショックをうける。




『そんなことないよ』



「なにが違うんスかぁ…」





もう傷つきたくない黄瀬は軽く耳を塞いだ。
そんな彼を見た小夜子は小さく咳払いをすると再び口を開く。





“これは地球、私の好きの大きさはこの地球よりも大きいんだよ”



「…………」



『なっ無反応はよしてってば…!』




指で作られた輪は地球を見たて作ったものだった。
途轍もなく意味不明なことを言ってしまったと言った後に後悔した小夜子は顔を赤らめた。





「ぷっあははははっ!なんスかそれっ」




案の定吹き出した黄瀬を睨みつける。
しかし真っ赤に染まった顔には何の説得力も無かった。





「もう本当チョー可愛いッス小夜子は!!」




そう言って仰向けになっていた体を素早く横にし小夜子を引き寄せ抱きしめた。
これは予想外の反応だったのか腕の中にいる少女は放心状態。




『アリガトウゴザイマス』



やっとでた言葉はぎこちない。
そんな彼女を黄瀬は愛おしく思い額に小さなキスをした。







好きの大きさ、それはこの地球という惑星以上―








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