企画

□次は「君」がいい
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久遠監督の声で、グラウンドにいた俺たちは休憩に入った。
俺はいつもの通り鬼道さんと話をしていた。


「さっ、佐久間さん!!」


聞きなれない声に振り向いてみると、
そこにはあまり面識のない立向居が立っていた。
俺が「どうかしたか?」と言っても彼は「あー」とか「うー」とかばっかりで、なかなか話を切り出してこない。
そろそろ俺も限界で、こっちから話を切り出そうとした時、
立向居がチラリと鬼道さんの方を見た。
なんだ、そういうことか…。


「鬼道さん、すいませんちょっと…」
「気にするな。また後でな」


ひらりとマントをひるがえすと鬼道さんは
円堂のところへ行った。


「で?俺に何か用があるのか?」
「あ…すいません!!俺、その話の邪魔するつもりじゃ…」
「なら早く用件を言え、な?」


するとまたしても彼は下を向いてモジモジしはじめた。
一体何がしたんだ、こいつは…。
半ば呆れ気味で鬼道さんのとこに戻ろうとしたら、やっと口を開いてくれた。

「ぁ…あの!!!佐久間さんて…ぺ、ペンギンの技使えますよ、ね?」
「あー、確かに皇帝ペンギン2号ならあるが」
「その、俺…」


俺、気づいたんだ。もしかしてこいつ…


「触りたいのか?ペンギンたち」
「…!!あ、はい…実は///」


話していくうちに分かったことなんだが、
いっつも円堂、円堂のこいつが実は動物好きだったなんて。
動物好きに悪い奴はいない、俺は信じてる←


「ふ…今出してやるから存分に触っていいぞ」
「あ、ありがとうございます!!!」





しばらく2人でわさわさとペンギンたちを撫で
動物の可愛さについて語っていると
久遠監督から集合の声がかかった。


「練習再開か…立向居、先に戻っててくれ。こいつら片してから行くから」
「分かりました。ありがとうございました!!」
「また時間があれば出してやるからな」
「…!!はいっ!!!」


先に戻る立向居の背中を見てから、
ペンギンたちを帰そうとした。
すると急に立向居が振り返って戻ってきた。


「どうした?」
「いえ、言い忘れてたことがあって」

言い忘れたこと?お礼?いや、それはさっき聞いたはずだ。
一体何のことか分からず考えていたら



「次出してくれた時はペンギンじゃなくて佐久間さんも撫でたいです。それじゃ、俺は戻りますね」



あっけにとられている俺はペンギンたちの
鳴き声にもタックルにも気づかなくて、
鬼道さんが呼びにくるまでその場から動けなかった。


もちろん、頭の中はあいつの言葉でいっぱいだ。






「春か…佐久間よ…」
「春って、何ですか鬼道さん。今夏ですよ」
「…………にぶちん」
「にぶちん!?」




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