稲妻
□相対
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「豪炎寺ー!!」
円堂…
「豪炎寺…お前はいつも遅ぇーんだよ…!!」
すまない、円堂…
「またな、豪炎寺」
円堂…円堂…
初めてサッカー部に誘われた時も。
お前たちの足手まといになりたくなくて、
一人抜けて沖縄に潜んで特訓した時も。
世界一になってみんなで喜びあった時も。
中学を卒業して、それぞれの道を歩んだ時も。
10年たった今でも。
俺の中で、いつもお前が呼んでいる。
サッカーはお前とのかけがえのない絆だ。
そのサッカーの楽しさを教えてくれたお前と
フィールドを共にできた日々は何よりも大切な思い出だ。
思い出を守りたいから、この道を選んだ。
「イシド様、お時間です」
「…あぁ、今行く」
選んだことに悔いはない。
お前たちを敵に回してでも、思い出を守る。
もうお前は手に入らないんだ…
なら俺はお前がそばにいた思い出を守るまでだ。
卑怯でも構わない、どんなことをしてでも…
円堂…
円堂、円堂、円堂…
今の俺にはお前の声が聞こえない。
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