会長はメイド様!
□球技大会でもメイド様!
1ページ/1ページ
今日は星華高校の球技大会だった。生徒達は活気に溢れ学校中に歓声が響き渡る。
【凄い迫力ですね会長…】
【あ、ああ…クソッ…男子達が勝手にあんな事をしてしまったせいで…】
体育館の二階からバスケの試合を眺める美咲と幸村。今回の球技大会は男子達の策略によりバスケで1番点を取った選手にある特権が与えられる。
【その特権が私にどんな事でも一つだけ命令できるというふざけたルールでな…】
それは先週の事、球技大会に備え準備をしていた美咲達生徒会の前に突然男子達がやってきたのだ。
『おい、会長!球技大会で頼みがある』
『何だ、薮から棒に』
会長反発派の男子だったが今回は何やら雰囲気が違った。
『球技大会にある特権を用意してくれ、その方が盛り上がるし楽しいからな』
『特権って体育祭みたいに褒美は用意できないぞ!予算だってあるのに』
『大丈夫!金なんかかからねぇよ…』
『ん?』
そして会長反発派の男子達はいつも威張っている美咲に恥をかかせようとこのルールを提案してきた。
『何で私がそんなくだらないルールに…』
『俺らに勝つ自信がないのかよ?』
『何だと上等だ!受けて立ってやるよ!』
まんまと乗せられ美咲はこのルールを許可してしまった。しかし当日、美咲は少し脚をくじいてしもい参加できなくなった。
【…っ…私とした事が…】
【会長は不参加だから俺らの不戦勝だな?もう誰が1番になろうとバスケ部のキャプテンがいるもんな】
反発派の男子の中にバスケ部のキャプテンがいた。このままではそいつに特権を奪われてしまう。
【今更特権無しってのは無理だからな?他の男子にも話したら面白そうって乗ってきた奴もいるし】
【っ】
男子達は美咲にメイドをさせようとかエロい恰好で校内を歩かせようとか話していた。
【まあせいぜい覚悟するんだな、会長…】
【へー、そんなご褒美あったんだ…】
するとそこにどす黒いオーラを放った碓氷が現れた。
【碓氷!?】
【1番点を取った奴が会長に命令ね…なかなか面白いルール作ったんだね、会長】
碓氷の威嚇するような冷たい視線に男子達はビビりその場から逃げ出す。
【碓氷さん、来てたんですね】
【幸村、ちょっと会長借りてくから】
【うっ碓氷!?ちょっちょっと待て!?】
脚を怪我している美咲を抱き上げ碓氷は体育館裏にきた。
【どういうつもり?あんなルール真に受けて】
【どうもこうも…私が勝つつもりだったんだだが…】
【こんな怪我してちゃ試合どころじゃないでしょ?…本当に、鮎沢は乗せられやすいんだから】
碓氷は立ち上がり体育館に戻る。
【碓氷…?】
【今日は俺に任せて鮎沢は休んでて】
碓氷はバスケの試合をしている自分のクラスに押し入り飛び入り参加となる。
【碓氷!?…何で碓氷がこの試合に!?】
勝っていたチームに碓氷は追い上げていく。
球技大会のバスケは盛大に盛り上がる。碓氷達のクラスは逆転し勝ち進む。
【まさか碓氷さんが参加するなんて】
【もしかして碓氷さんもこのバスケの優勝賞品が目当てとか?】
バスケのルールについてはもう学校中が知っていた。碓氷は水を飲みながら周りにいた男子達の話に耳を傾ける。
【バスケで1番点取った奴、会長に一つだけ命令できるんだろ?】
【ああ、今んとこ三年の先輩が1番かな…】
【どんな命令するんだろな?】
【一日水着でメイドとか?(笑)ちょっと見てみたいかも】
こそこそと話す男子達に碓氷は水の入ったペットボトルを潰しそうな程強く握る。
【美咲ちゃんあのルール本当なん?】
【深谷ああ…できるだけこういう事にあまり興味ない男子に勝ってもらいたいんだが】
【俺に任せるっちゃ!美咲ちゃんのためなら協力するっちゃ!】
【深谷…助かる、ありがとな】
深谷といた美咲は心強いと深谷に笑いかける。そんな美咲に深谷は顔を赤くしていた。
【……っ】
その様子を見ていた碓氷の嫉妬心に更に火が付いた。その後碓氷は驚く程の勢いで点を取っていく。
【球技大会!高得点者は2-2碓氷拓海!2-1深谷陽向!3-5郷田先輩だ!】
三人は同点だった。準決勝で深谷と郷田のクラスが戦い一点差で郷田が勝った。
【ごめん美咲ちゃん】
【いいよ、深谷はよく頑張ってくれたよ】
さくらに想いを寄せていた郷田。どうやら体育祭の仕返しに美咲に恥をかかせるつもりらしい。
【優勝は俺が貰うぜ!覚悟しとけよ!鮎沢美咲!】
決勝戦は碓氷のクラスとだった。美咲はこうなれば碓氷に頼るしかないと見守る。
【優勝したら鮎沢美咲にメイド姿にでもさせるか】
【優勝したらの話でしょ、郷田先輩…】
碓氷は郷田を睨み据えニコッと笑った。しかしその後ろで取り巻いているどす黒いオーラが恐い。
【碓氷…】
試合は開始してからたった十秒で碓氷が先に点を取った。その後も郷田は食らい付くが敵わず、碓氷はどんどん点を引き離していく。
【試合終了!55対7で二年二組の勝ち!】
圧倒的な差で碓氷が勝った。しかも得点のほぼ九割が碓氷のおかげだった。
【クソッ…負けた…】
【さすが碓氷さん!よかったですね、会長…ってあれ?会長?】
美咲は試合終了後体育館から抜け出し人目を避けていた。
【はあ…何とか碓氷が勝ったがあの後一体何をされるか…】
【へー鋭いじゃん美咲ちゃん】
いきなり目の前に現れ美咲の逃げ道を塞ぐように壁に追いやる碓氷。
【う碓氷!?お前いつの間に!?】
【さっき?美咲ちゃんがこそこそ逃げていくの見えたから】
【別に私はこそこそなんか…】
碓氷は手を付き美咲との距離を縮ませる。
【言っとくけど俺怒ってるんだからね…三下君頼ってあんなルールOKした事…優勝したから俺にご褒美くれるよね?】
【!?なっ何だよご褒美って】
【わかってるでしょ?】
碓氷の不適な笑みに美咲は冷や汗をかいていた。