会長はメイド様!

□鬼ごっこ
1ページ/2ページ

放課後の生徒会室、役員達は既に皆帰りそこにいるのは二人だけだった。

【はあ!?何で私がお前の家に泊まらなきゃならないんだ!?

【ご主人様からのお願い〜!最近美咲ちゃん忙しくて全然構ってくれないから俺寂しいんだけど?】

【知るか!泊まりなんて冗談じゃない!お前みたいな変態宇宙人と一晩中一緒だなんて】
【え〜何、美咲ちゃん何かやらしい事されるとか考えたの?】

【違っ…私はただ…

真っ赤になり動揺しまくる美咲。碓氷はニヤニヤしながら美咲に近付く。

【こないだベットも買ったから見に来てよ。いつまでもソファの上じゃ落ち着いてできないでしょ?】

【〜っ…お前何言って…学校でその話はするな!だいたい私は泊まりなんか…】
美咲は何かを思い出したように考え込む。

『そういえば今日母さんは泊まり込みで鈴奈は友達ん家でお泊り会だっけ?』

ボソッと呟いた言葉を碓氷は聞き逃すはずもなくニヤリと笑う。

【美咲ちゃん今日一人なんだ〜だったら尚更俺ん家に来てもらわなきゃねV】

【はあ!?何でそうなるんだよ!?

【だって女の子一人でお留守番なんて心配でしょ?今日は俺ん家来てねV】

半ば強引に話を進める碓氷に美咲はちょっと待てと否定の言葉を並べるが聞く耳持たず。
【ちょっと待て!いくら私一人だからってお前の家に行く必要ないだろ!

【楽しみだね〜…今夜…V】

ニヤリと碓氷は笑みを浮かべる。その笑みに美咲はビクリと寒気を感じた。

【…わかったそこまで言うなら泊まってやる。ただし!私と勝負して勝ったらな!】

【勝負〜?】(ワクワク)

美咲は何とか碓氷の家への泊まりから逃れるためにテキトーな事を言った。

【き今日帰り道で私が家に帰る前にお前が私を捕まえられたら泊まってやってもいいぞ
【それって鬼ごっこ?】

【ま、まあそんな物だ言っとくが私が学校を出て碓氷は一分後だぞ

美咲は自分でも無茶苦茶な言い分だとわかっていたがそう簡単にこんな変態の家に泊まれるはずない。

【いいよ…その勝負に俺が勝ったら美咲ちゃんをお持ち帰りしてもいいって事だよね?】
【ああ…やけに自信ありげだな

美咲は一分もあればダッシュで家付近には辿り着けるだろうと思っていた。

【後でやっぱり無理とかは無しだからね?】
【わかってるよ

【美咲ちゃん…俺が勝ったら泊まりって事は今夜は寝かせてあげられないって事、ちゃんとわかってるよね?】

【///…

美咲は真っ赤になり自分が逃げ切れれば泊まりも無しだろと強がる。碓氷はそんな美咲に顔を近付け耳元で囁く。

『そう簡単に俺から逃げられると思う?』

【!?

ビクッと美咲は肩を強張らせた。

【ちゃんと今夜の覚悟しといてねV美咲ちゃん】
…】

既に勝負する前から余裕の碓氷、何をやらせても完璧で彼に敵う者などいないのは美咲もわかっている。

(どうする!?…碓氷の奴なら一分でも逃げ切れないかもしれない今更取り消す訳にもいかないし

美咲は苦悩していた。
放課後、碓氷と碓氷の家に泊まるかどうかを賭けて勝負する事になった美咲。内容は美咲が家に帰るまでに碓氷が美咲を捕まえられるかどうか。

【よしっ!碓氷は私が学校を出て一分後だからな!反則するなよ!】

【はいはい、美咲ちゃんこそ約束はちゃんと守ってよね…】

碓氷はまるで獲物を狙う狼のような眼差しがづ美咲を見た。いかにも余裕そうにしているその表情がムカつく。

(絶対逃げ切ってやる!

今日はバイトもないため他に言い逃れの口実がない。美咲は学校を出るとダッシュで走った。
【美咲ちゃん元気だね〜…さあて、俺も…】
碓氷は時計を見上げ一分待つ。

【20、19、18…】

だんだんと碓氷の表情が恐ろしい獣のようになっていく。

【…10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0…行くよ、美咲ちゃん…】
碓氷も美咲の後を追い掛けた。ダッシュで走っていた美咲は半分以上の所までは来ていたが流石に息が上がっていた。

【はあはあ…ったく、何で今日に限ってこんなに荷物が多いんだ…

勉強道具やら生徒会の資料などが鞄に入っており結構な重さがあった。

(とにかく今は早く帰る事が先だな…)

しかしもう走る余力はなかった。美咲はとりあえず近場の公園に逃げ込む。

【…碓氷の奴、まさか私がこんな所に隠れているとは…】

【思わないよね〜でももしかしたらと…】

【うっ碓氷!?お前もう追い付いたのか!?】
振り返ると碓氷がニコニコしながら立っていた。
【途中で隠れるなんてバカだねぇ美咲ちゃん…それとも捕まえて欲しかった?】

【ふざけるな!誰が…】

全然息が上がってない碓氷に対して美咲はまだ荒い呼吸をしていた。

【クソッ…何でお前そんな余裕なんだよ
【まあ俺だから?それより美咲ちゃん逃げなくていいの?俺捕まえちゃうよ?】

【クソッ…

美咲はヨロヨロと走り出す。しかし碓氷はなかなか捕まえようとしない。

【碓氷…お前何で…私を捕まえようとしないんだ?】
こんなスピード碓氷ならすぐに追いつけるはずだった。
【何?俺に捕まえられたいの?】

【そうじゃない!…お前、私を家に泊まらせたいんだろ?なのに何で捕まえないんだ?】
【…鮎沢が本当泊まりたくないなら別に無理にとは言わないよ?ただ俺が一方的に泊まって欲しいだけだから】

【碓氷…】

美咲は走るのをやめ碓氷に向き直る。胸の奥がチクリと痛い。

【鮎沢?】

【…私はお前に我慢させてばっかじゃないか!何だよ…結局私だけが逃げてるみたいだ…】
【鮎沢

【私だって…ずっとお前の傍にいたいなんて考えてしまったじゃないか!我慢なんかすんなよ!アホ碓氷!】

その言葉は碓氷の中の何かをプツリと切り再び逃げようとした美咲を碓氷は後ろから抱き寄せた。
【う、碓氷…?

【本当…狡いよね、鮎沢…】

美咲は赤い顔をして碓氷の何か腕にしがみつく。
【…勝負は俺の勝ちだよね?】

【ああ…

【じゃあ…いいんだよね?美咲ちゃん…今夜眠らせないよ?】
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ