会長はメイド様!
□ヘンデルとグレーテル
1ページ/1ページ
昔々ある所に美咲と幸村という二人の若者がおりました。二人はいつも森で仕事をしていました。
【よし!幸村ー!そっちはできたか?】
【はい森の動物達のアンケートです。なんか最近森の奥にお菓子の家があるらしいんですよ】
幸村は葉っぱでできたアンケート用紙を見ながら言った。
【お菓子の家?そんな物があるのか?】
【はい噂ですけどこの森のずっと奥に】
【ん〜害はなさそうだが何か怪しいなよし!行ってみるか】
こうして美咲と幸村は森の奥にお菓子の家を探しに出掛けて行ったのでした。
【暗いですねなんかお化けとか出そう】
【おおおお化けなんているわけないだろ】
美咲は足をがたがたと震わせていた。しばらく行くとかわいらしいお菓子の家があった。
【お菓子の家だ!会長!これですよ!】
【これがお菓子の家かまんざら嘘でもないみたいだな】
美咲は柱の飴を摘んで食べた。
【あれ〜?誰かな〜?勝手に人の家食べたの】
【碓氷!?】
【碓氷さん!?】
中から黒いマントを着た拓海が現れた。美咲はバッと手を後ろにした。
【お前ん家だったのか?勝手にってちょっとだけだぞ本当に食べられるか…】
【鮎沢は正直だね…知ってる?このお話って家を食べちゃったヘンデルとグレーテルは魔法でクッキーにされちゃうんだよ?】
【ええっ!?じゃあ僕と会長は魔法でクッキーにされちゃうんですか!?】
【おい待て!家少しかじったくらいでクッキーにするなんてあんまりじゃないか!】
正義感の強い美咲は猛抗議した。それを見て拓海はクスッと笑った。
【じゃあ美咲ちゃんが俺の言う事聞いてくれたら二人ともクッキーにならずに助けてあげる】
【!?】
【会長】
美咲は幸村の事を考え、クッキーにされるよりはマシだと腹をくくった。
【わかったお前の言う通りにする。だから幸村は助けてやってくれ】
【さすが会長…でも…】
拓海はグイッと美咲の腕を引き家の中に引き込んだ。バタンと扉は閉まり外からは見えない。
【会長】
幸村が駆け寄ると中から声がした。すると茂みから叶が現れた。
【叶君!?どうして】
【碓氷さんに頼まれて…碓氷さんうまく会長を中に入れたんですね】
叶は美咲をはめた事に罪悪感を感じながら幸村を宥めていた。家の中では美咲が拓海に迫られていた。
【なっ何のつもりだ!?】
【会長、俺言わなかったっけ?独占欲強いって…あんなに他の男と仲良くしてる美咲ちゃん見て我慢できると思う?】
【はあ!?他のって幸村だろ】
【例え幸村でも俺以外の男には変わりないでしょ?…さて、約束したよね?魔法かけない代わりに美咲ちゃんが俺の言う通りにするって】
【!?…なっ何させる気だ?】
【さあ〜どうしよっかな〜】
ニヤニヤと笑う拓海に迫られながら美咲は逃げ場を失う。外で幸村と叶は二人の影を見ていた。
【碓氷さん…容赦ないですね】
【叶君、あの二人何してるの?】
【行きましょう幸村先輩…】
叶は家の中で騒いでいる美咲を哀れに思いつつ碓氷に言われた通りに幸村をその場から連れ出した。