深海の神喰

□神喰 3
1ページ/4ページ

アラガミ。
それは人間の脅威であり、外部居住区に住む者たちにとって家族を奪う死神のような存在である。
外部居住区とは、塀で守られていない外の空間で危険と常に隣り合わせの場所だ。
大抵の人間はアラガミと戦う術を持つことなく、アラガミに見つからぬようひっそりと暮らしている。
しかし、そこに住んでいるということはいつ何時襲われてもおかしくはないということだ。
そんな外部居住区に住む1人の少年。
名は神里ユーリ。
4、5年前までは別の外部居住区に住んでいたが、アラガミに襲われ家族全員で逃げて来たのだという。
だが、その途中で家族は皆アラガミに喰われ自分だけが生き残ったと。
誰が最初に言ったのかわからないが、そういう噂が蔓延っていた。
まだ15,6の子供であるはずの彼だがとても強い目をしているからだろうか。
そんなユーリの姿が見回りに来ていたゴッドイーターのリンドウの目に留まったのがつい先日のことで、彼の読み通り新型適性検査で脅威の適合率を見せていた。
数日前より訓練を繰り返していたユーリだが、外部居住区で1人生きてきただけあって身体能力はずば抜けている。
冷静に物事が判断できるだけでなく、感情で流されたりもしない為ある意味人間らしさがないと言え、彼が話した所は一度も見たことがない。

「これで訓練は終わりだ。明日から第1部隊で任務をこなしてもらう。以上だ。」

上官であるツバキはそう言い残して歩き去り、そんな姿を軽く見送ってからエントランスへと向かえば、任務から戻ってきたのであろう血の匂いを纏った先輩ゴッドイーターの姿が見えた。
その中には明日から配属になった第1部隊のメンバーも居り、軽くお辞儀をすれば気付いたリンドウが笑いながら近付いてくる。

「慣れたか?」

「…。」

「そっか。明日からお前も実戦に出るんだろ?今日はしっかり休めよな。」

煙草をふかしながらそう言った彼は任務報告を済ませるべく離れていった。
それと同時に近付いてきたのはフードを被った目付きの悪い少年で鋭い視線で射貫いている。

「…。」

「お前、アラガミの匂いがする。」

「…。」

「ソーマ、何してんだ?」

「リンドウ。」

「あーこいつ新人のユーリって言うんだ。明日から俺たちの部隊に配属になった。仲良くしてやれよー?」

「…。」

じーっと睨み付けていたソーマという彼だが、興味が失せたのか歩き去ってしまうのだった。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ