深海の喰種
□喰種 2
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「カネキ。君は何の為に強くなろうとしているんだい?いつも口先ばかりで誰も守れていないと思うんだけど。」
「…それは。」
「クズに何を言われたか知らないけど、君はグールだ。その事実は変えられない。何故認めない?何故本気で守ろうとしない?俺はあんていくの誰も傷付けさせない。ヒデも俺が守る。」
「…ヒデは俺が…。」
その言葉を言うと同時に燐嚇で首を絞められ、ぎりりと歯ぎしりしている。
その姿にニヤニヤと笑いながら楽しそうにしている彼のその片目は嚇眼特有の紅い眼をしていて、喰種であることの証明の様だ。
カネキをどうしようかと考えている間に現れたのは白鳩の大群。
それを見ると同時にカネキを捨て、あんていくの外へと出ていけばいきなりの攻撃に大きなため息を零した。
「まったく俺も舐められたものだよね。」
先ほどカネキを痛めつけている暗闇ではわからなかった金色の髪を掻き上げながら気だるげにしている彼の背から次々と現れるのは20本以上の尾嚇。
整っていた綺麗な顔を覆うのは堅い嚇で半径5q以内にいる全ての敵を蹴散らしていく。
「な、なんなんだ!!」
「ひいい。」
「あれ、君らもしかして潜り?」
「司令官、彼は何者ですか!!」
「0と呼ばれてるが名前は決められてない。ランクはSSSで過去最高の強さを誇る。」
「そういうこと。俺は最高で最強の存在、そして至高の喰種ってところ。じゃあ理解してもらったところで死のうか。」
彼のその言葉と同時に次々と死体が転がっていく。
その量の多さに唖然とするのはヒナミとトウカを守ろうとしていたあんていくの者達だ。
嚇眼のあり方が普通とは違い尋常じゃないほど、黒と紅の色。
それは強さと比例して濃いものとなっていくのだ。
「ふぅ。まぁこんなもんか。」
「お前な、どういうつもりだよ。」
「鬱陶しいし、俺は俺の信念に従ったまでだよ。」
「よくいうな。お前はただ派手なことが好きなだけだろ。」
「そりゃもちろん!」
「あのなあ。」
「それに仲間を守るのは当然でしょ?」
「ヒデとか言う奴はなんで梟から助けたんだよ。」
「カネキが大切にしてるから?」
「そういうことか。」
「俺はあんていくの皆を守る。あんていくの皆の大切なものを守る。それが俺の全てだよ。」
優しい笑みを浮かべながらそう言う彼は誰よりもあんていくのことを思っているようだ。
「俺はね。トウカやカネキのように弱いのに理想ばっかり言ってるような奴になりたくない。例えこの姿に戻れなくなるとしても、強くなりたい。」
「へいへい。狐の言葉は絶対だからな。」
「白鳩との全面戦争開始だ。」
彼の言葉とともに次々と現れる狐の面をした彼らは皆SSランクの強者ばかりだ。
戦い始めると白鳩など一瞬で鎮圧してしまう彼らは