深海の僕等

□双子 1
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塚原要には双子の弟が居る。
そう噂になったのは入学式を終えて少し経った頃だった。

「塚原に兄弟がいるなんて意外だよな。」

「私も思った!学級長だし、一人っ子ってイメージが強くて。」

そんな会話をしているクラスメイトを他所に、何度も送られてくるLINEにイライラを隠せない要。
授業の合間にも送られてくるそれはつまらないとか暇だとかそういったくだらない内容ばかりで、試験前ということもあり勉強に集中したい彼にとって煩わしい。
これは一度電話して文句を言ってやろう、そう思いながら立ち上がると、屋上への道を急いだ。
スマホからLINEの相手を出して通話ボタンを押せば、ワンコールで取る速さに少し呆気に取られる。

「どーした?要から掛けてくるなんて珍し。」

「奏!!授業中にどうでもいい内容のLINE送ってくんじゃねえよ。勉強に集中しろ、この万年最下位のバカが!」

「えー別に減るもんじゃないしよくない?」

「俺の勉強時間が減るだろうが!」

「ブロックすれば?」

「あぁ、そうかよ。」

吐き捨てるようにぶちっと強制終了させた。
ブロックすればいいという内容がどうにも気に入らない。
確かに鬱陶しいとは思ったがLINEのやり取り自体が嫌なわけではない。
ブロックをするということはやり取りの全てを遮断するということで、それをされたところで自分は気にしないと。
そういう意味と捉え、一方通行な想いにイライラが募る。
奏の言った通りLINEをブロックしてから軽く舌打ちをこぼし、勉強に集中しよう。
そう言い聞かせてスマホをポケットにしまうのだった。
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