深海の忍術

□従弟 1
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うずまきナルト。
彼の身体には九尾の化け狐が封印されており、それが原因で陰湿な虐めにあっていた。
四代目火影は里を救った英雄として、九尾の入れ物と化した彼の息子は化け物として。
それは天と地の差と言っても過言ではないはずだ。
周りは誰も彼を人間として扱うことはなく、そんなナルトを赤子から育てた人物の名は風波カナデ。
四代目火影である波風ミナトの従弟である。
十歳になったばかりでの子育ては周りから反対が沢山あったのにも関わらずナルトをアカデミーに入れるまでに成長させていた。

「ナルト、またイタズラしたんだって?」

「ニッシシシ。」

「元気なのは良いことだけど、羽目外し過ぎて怪我したなんてことだけはないようにね?」

昔から変わらずの過保護具合にナルトは眉間に皺を寄せている。
しかし、そんな表情をしていても満足げにニコニコと笑う彼。
ふん、と軽く拗ね始めたナルトを横目に散らかされていた巻物や忍具を手早く片付けていく。
暫くしてチラリとナルトを見てみれば、風呂上がりで濡れた髪のまま床で大の字になりながら眠っていた。
カナデは優しく彼を抱き上げ、ベッドに寝かせると近くにあったタオルで丁寧に水気を取っていく。
ある程度取れたところで布団を肩まで掛け、ナルトのサラサラの髪をゆっくり撫でた。

「おやすみ、ナルト。明日がナルトにとって良い日になりますように。」

日課であるそれを済ませ、片付けを再開させるのだった。
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