深海の色々
□錆喰いビスコ 1
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翌日。
目を覚ますと腕から伸びる輸血の管が見え、視線を彷徨わせると銀色の桶を持ったミロの姿があった。
「良かった。目が覚めたんだね。体調はどう?」
「…なんでここに?」
「彼女が案内してくれたんだよ。」
「…クーちゃんが?」
「うん。君は寝たつもりだったかもしれないけど、貧血で意識を失っている状態に近かったからね。出血はしてなさそうだったけど、サビツキが治癒してるところを見るとそれと関係があるのかな?」
「…。」
「ジャビさんからサビ守りは体内に特殊なサビを持っている存在だって聞いたけど。」
「…血液がサビで出来てる。だから使うと貧血になるだけ。」
「貧血になるだけって、ユーリの場合重度の鉄欠乏性貧血になってるんだよ!?どれだけ身体に負担がかかるか…。」
「…別に大丈夫。」
「大丈夫じゃない!輸血は一時的なものだし、投薬しないと。」
「…ミロって意外と煩わしい。」
「僕は医者だからね。病気の人は放っておけないよ!」
「…俺病気なの。」
「うん。君は病気だよ。病状も良くないし、医院だったら入院させてるレベル。リククジラの女王様にこの話をしたらここを好きなように使っていいってお許しを貰ったんだ。医療器具も色々揃えてくれてとても助かったよ。」
「…クーちゃんと話せたんだ。」
「余程ユーリを助けたかったんだろうね。僕にわかる言葉で話しかけてくれた。」
「…俺にすらしてくれないのに。」
「君とリククジラの女王とはどんな関係なの?」
「…どんな関係なんだろ。」
「親みたいだよね。」
「…近いのかな。元々は俺のほうが年上だったのに追い抜かれたし。ほら、そこにクーちゃんの子供達。少し前に生まれたはずなのにもう大人になった。 」
「リククジラの成長速度って早いの?」
「成熟するまでは早くて、その後はゆっくりだから長寿でも知られてる。」
「すごい生き物だね。」
「人知を越えた存在って言われるだけあるよ。クーちゃん」