深海の色々

□八犬伝―東方八犬異聞― 1
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帝都に来てから犬飼現八、犬田小文吾、犬阪毛野と出会い色々な騒動に巻き込まれてきた犬塚信乃と犬川荘介。
今回もまた信乃が騒動の発端になりつつあった。
彼女の名は琥珀。
花街の女だ。
病気で先の長くない琥珀は信乃のような穢れのない瞳に魅せられ、その中に自分を描く。
そんな中彼女の仕事先のオーナーの息子が信乃を連れてやってきた。
逆上した彼が発砲した銃は信乃の首もとへと向かっていったが、それをどこからか飛んできた小石が綺麗に弾き飛ばす。

「誰だ!?」

「それ当たったら死んじゃうよね。」

「?」

「落ち着いて行動しないと身を滅ぼすよ。」

いきなり現れたのは着流しを羽織った紅い髪の青年で、扇子を閉じると同時に男の身体が真っ二つになり血が壁中へと飛び散った。
それをクスリと笑みを浮かべながら見届け、信乃へと向き直る。

「大丈夫だった?」

「お前誰?」

「俺のこと忘れるなんて信乃はつれないね。」

「信乃!!」

「荘介?」

「怪我は?」

「大丈夫だ。そんな心配すんなよ。」

「…白堊が何故ここに。」

「白堊って…あの白堊か?」

「そうだよ。」

「久しぶり。信乃は忘れてるんだよ?ほんとひどいと思わない?」

「嘘だろ。お前が白堊か?虹竜だったはずだ。」

「虹竜の姿でうろうろしてたら目立つでしょ。」

「確かにな。帝都で虹竜が見つかったら速攻捕獲される。」

「だから、赤に統一してみたんだ。どー?似合う?」

「俺は虹色の髪のが似合ってると思うけど。」

「ならこれでいいでしょ。」

「その姿だったら即気づいたぞ。」

「そ。ならこれにしとく。」

にんまりと笑みを浮かべるその姿は虹竜らしい
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