Novel
□Fate mischievous
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Fate mischievous
(運命の悪戯)
「ねぇ、聞いた〜?
今日入院して来た男の人、プロボクサーなんだってさ!」
私が病院で、カルテの整理をしていた時の事である。
同じ看護師のれーコさんは、嬉しそうな笑顔でナースステーションにやって来たのだった。
「へぇ! プロボクサー!
結構かっこいいんじゃないの〜?」
「ん〜かっこいいというよりは、どっちかって言うと可愛い感じね。
お見舞いに来てた人達は、結構いい感じだったけど」
プロボクサー…。
それを聞いて思い出すのが、まずお兄ちゃんの事だった。
その男の人は、きっと凄い怪我をして入院をしたに違いない。
胸の奥が、少しざわついた。
「いや〜ん、私ナンパとかされちゃったらどうしよう〜!」
「可愛い子かぁ…。
私そういう人、タイプなのよね」
看護師さん達は、身をくねらせてとても嬉しそうだったが、
この時の私は嬉しいというよりも、心配する気持ちの方が大きかった。
その人は、大丈夫なんだろうか。
お兄ちゃんがボクシングをやっているせいもあってか、試合で怪我をした患者さんだと聞くと、とても気になってしまう。
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