Novel
□Endless Kiss
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Endless Kiss
二人きりの部屋で。
辺りに静けさが流れる中。
「…あの、幕之内さん」
私は高鳴る鼓動を押さえつつ、勇気を出して彼に頼んでみた。
「キス……してくれませんか」
「は?…えぇっ!?」
幕之内さんは、当然のように慌てて頬を紅潮させる。
……私達にはまだ早かったのかなぁ。
なんて考えながらも、もう一度お願いしてみる。
「駄目…ですか?」
じっと幕之内さんの目を見つめていると、彼は耳まで真っ赤になった。
そして困惑した様子で唇を震わせ、私から目を逸らす。
やっぱり、駄目か…。
目を伏せて諦めかけていると、
「……い、一回だけなら」
その消えそうな程の小さな声を、聞き逃しはしなかった。
私は目線を上げると、ゆっくり目を閉じる。
次第に近付いてくる彼の温かい息に、鼓動はますます早くなった。
…そして触れ合う、互いの唇。
それは心が溶かされるような優しい、優しいキスだった。
だが、一瞬触れ合っただけで幕之内さんは恥ずかしそうに離れてしまう。
もっと…もっとして欲しいのに。
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