Long Novel
□V
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Spring Birthday V
Side 久美
公園で幕之内さんと別れた後、私はそのまま家へ帰った。
貰った桜のネックレスは、まだキラキラと私の胸で小さく輝いている。
「ただいま〜」
時刻は既に21時過ぎ。
遅くなるとは言ってなかったので、もしかしたらお兄ちゃんは怒ってるかもしれない。
また機嫌が悪いかも…。
ガチャリと扉を開けて家の中に入ると、なぜか中は真っ暗だった。
おかしいな、帰ってるはずなのに。
不審に思いつつも、片手でパチンと電気を点けると。
「…うわっ! びっくりしたぁ! お兄ちゃん、いるなら電気ぐらい点けてよね」
部屋が明るくなった途端、突然現れた大きな黒い影に心臓が飛び出そうになった。
やっぱりお兄ちゃんは家にいた。
テーブルの向こうに寝転がって、こちらには背を向けている。
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