Long Novel
□U
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そして、それから数時間後。
「はぁ…もうこんな時間か」
チラリと腕時計を見ると、もう夜中の0時過ぎ。
明日は休みだからよかったけれど、やっぱり夜勤はキツイ。
疲労と眠気で重たくなった瞼を必死で開けつつ、私は自宅のアパートに向かっていた。
ひんやりとした夜の空気を、肌で感じる。
本当に今日は疲れたなぁ…。
ようやく家の前に着いて、ふぅっとため息をつきながらドアを開けようとした、その時。
ぴたりと、思わずその手を止めてしまった。
何か、ドアノブに掛かっている。
どうやら紙袋のようだが…暗くてよく見えない。
(何だろう…?)
不審に思いながらも、とりあえず紙袋を持って家の中に入る事にした。
「ただいま…」
お兄ちゃんは寝ているだろうから、小さな声で呟く。 電気は点いているようだけど…。
「おぅ」
いきなり声がしたので、跳び上がってしまう。
「お、お兄ちゃん、起きてたの!?」
「起きてちゃ悪いかよ」
「い、いや。 そんな事無いけど…」
寝ていると思っていたお兄ちゃんは、ボクシング雑誌を黙々と読んでいたのだった。
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