Long Novel
□U
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「じゃあ、行ってくるね」
「おい」
玄関を出ようとした時、急に後ろからお兄ちゃんに呼び止められた。
くるりと振り返ると、お兄ちゃんは私をじっと睨んでいる。
「今日は、本当に夜勤なんだろうな」
「? そうだけど…」
何回もそう言っているのに、どうしていきなり?
私は訝し気にその表情を伺う。
「まさかあいつと、泊まりとかじゃねぇよな」
「あいつ…?」
少し考えてハッと答えに辿り着くと、私の頬はみるみる内に熱くなった。
「お、お兄ちゃん何言ってるの!?
ま、幕之内さんと泊まったりする訳無いでしょうっ!」
本当に、何て事を言い出すのだろう!
「…ふん。 ならいいんだけどな」
ムッと口を下げて、私はお兄ちゃんを無視して玄関の扉を開ける。
…するとまた。
「おい」
後ろから、声を掛けられた。
「もー! なんなの…」
眉を寄せながら勢いよく振り返ると…。
すぐ後ろにお兄ちゃんが立っているではないか。 驚いた私は、目を丸くする。
そんな私を余所に、お兄ちゃんは目の前にスッとコンビニの袋を差し出したのだ。
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