Long Novel

□After Valentine's Day T
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「えーっと…。
まぁ、ですから」

「おい、幕之内にフラれたってどういう事だ。
あいつ、久美だけじゃなく他の女もたぶらかしてやがったのか!」

「あの」

「その話、詳しく聞かせろよ」

…すごい食いつき様だ。

今すぐに首でも絞められそうな、すごい迫力。
この人は本当に、久美さんと先輩の話になると必死になるんだからなぁ。

「あ、後でゆっくり話しますから! それよりこっちの話を先に聞いて下さいよ!
いつも相談乗ってあげてるじゃないですか」

「む……。
…まぁ、そうだな。 後で絶対だぞ」

間柴さんは渋々了承し、再びコーヒーを啜り始める。

「それで、ですね。
それがあるから、男という線は薄いかと…」

「甘いな」

「えっ」

「残念だがな、女がそんな風に浮かれるのは確実に男絡みだ。
実際、身近で見てきてるからな」

と、とても説得力がある…。

「えぇ〜でもそんな、菜々子に近づく男なんて」

いませんよ、と言おうとした瞬間。
パッと頭の中に一人の男の顔が浮かんだ。

「あ」

「しかも、それは自分の気に食わない相手だったりするもんだぜ」

(京介か…)

あいつの顔を思い出すと、なんだか無償にムカムカしてきた。

「ど、どうしたらいいんですかね!」

ガッと身を乗り出して尋ねる。

「まずは、尾行だな」

「び、尾行…」



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