Long Novel
□After Valentine's Day T
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After
Valentine's Day T
板垣&間柴
バレンタインデーから1週間ほどたった頃。
ボクは間柴さんを誘って、いつものカフェに来ていた。
「で、話ってなんだ」
「あの、この間のバレンタインデーなんですけど」
向かいに座っている間柴さんは、コーヒーを啜りながら眉を寄せる。
「久美の事か」
「いえ!違いますっ!
うちの菜々子の事なんですけど…。
どーもあの日以来、ちょっと様子がおかしいんですよね」
「菜々子って、確かお前の妹だったな」
「はい」
ボクは熱い紅茶を飲みながら、頷く。
「な〜んかニヤニヤしてて、嬉しそうっていうか。
どうしたんだって聞くと、なんでもないって言うし。
何回も聞いたら、お兄ちゃんには関係ない!ってキレられるし…。
もう何がなんだか」
ため息をつくと、話を静かに聞いていた間柴さんは小さく一言だけ呟いた。
「男だな」
その言葉に、カップを置いて勢いよく反論する。
「と、ボクも思ったんですけどね!
男じゃ無いと思うんですよ。
だって菜々子の奴、バレンタインデーの日に先輩にフラれてるんですから」
「何ぃ?幕之内だと?」
間柴さんはその名前を聞いた途端、ガチャンと乱暴にコーヒーカップを置いた。
そしてボクの方をギロリと睨みつける。
しまった。
先輩の話は伏せておくべきだった!
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