Long Novel
□U
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Spring Birthday U
Side 久美
3月21日の夕方。
私は一人そわそわとした気持ちで、夕焼けで赤く染まる駅前に立っていた。
待ち合わせ時間には、少し早かったかもしれない。
意味も無く何度も腕時計を見たり、スカートの裾を直したりて彼が来るのを待つ。
今日は、久しぶりに幕之内さんと会う約束をしていた。
一週間前ぐらいに彼から電話があり、今日の夕方に会う約束をしたのだ。
『21日…ですか?』
『はい。 く、久美さんのご都合がよければ…なんですが』
『大丈夫ですよ』
『ほ、本当ですかっ!? よ…よかったぁ…!』
返事をした時の幕之内さんのとても嬉しそうな声が、今でもハッキリ耳に残っている。
早く、彼に会いたい…。
時間が経過する度に、そんな感情がだんだんと強くなって来ていた。
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