Long Novel

□Spring Birthday T
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Spring Birthday T
Side 一歩



「ねぇ、学くん」

ジムでの練習が終わった後。

更衣室にて、僕は早々と着替え終わった学くんに、ひっそりと声を掛けた。
鷹村さん達は先に帰っていて、今更衣室には僕達だけがいる。


「何ですか? 先輩?」

学くんはくるっと機敏に振り返ると、不思議そうに首を傾げた。

「あ、あの…」


やっぱり、やめとこうかな…。

話し掛けたもののそう思いつつ、下を向いてぽりぽりと頬をかいていると、何か思いついたらしい学くんが声を上げた。

「……あっ! 今度の試合の相手の事ですか? いやぁ〜実はボクも先輩のアドバイスを聞こうと思っていた所で…」

「い、いや。 そうじゃなくて」

「? 違うんですか?」

顔を上げると、学くんはキョトンとした様子で僕を見ていた。

こんな事、聞くのはやっぱり迷惑かもしれない…。 でも学くんなら、いいアドバイスをしてくれるかもしれないし。

しばらく悩んだ後、決心した僕はぼそりと小さく言ったのだった。


「……久美さんの、事なんだけど」


それを聞いた学くんは、ハッと目を見開くと真剣な面持ちで言った。

「……夜のご相談なら、青木さんの方が詳しいと思いますが…」

「ち、違うよっ!
学くんまでそんな事言うの!?」

頬が熱くなるのを感じながらも、眉を寄せていると、

「はは、冗談ですよ〜!
で、久美さんがどうしたんです?」

彼はニヤニヤと、笑顔で僕の方に寄ってきた。


「…今度、久美さんの誕生日で。 それでプレゼントを買いたいんだけど…。 学くん、いいお店知らないかなって」


そう。 久美さんの誕生日が、もう近くまで迫ってきていたのだ。

そのプレゼントを買う為に、僕は学くんにいいお店を教えてもらおうと思っていた。


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