Long Novel
□White Day T
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White Day T
Side 一歩
3月も始めに入り、そろそろコートも要らない気温になってきた頃。
僕は一人で家から遠くにある大きなデパートに行き、中をうろうろと歩き回っていた。
こうしてデパートを訪れるのも、今日で3日目。
もしかしたら店員さんに、顔を覚えられているかもしれないなぁ。
そんな事をふと頭で考えながらエスカレーターを上がると、
女性が好きそうな、可愛い雑貨が売っているお店へと向かう。
男の僕が、どうしてこんな所に来ているのかと言うと…。
明日は3月14日。
そう、ホワイトデーだなのだ。
先月2月14日に、僕は久美さんや菜々子ちゃんからバレンタインデーのプレゼントを貰った。
そのお返しをする為に、こうしてデパートでプレゼントを買おうとしていたのである。
しかし…。
女の人にプレゼントなんてした事が無いので、一体どんな物がいいのかさっぱり分からない。
なかなか決められず悩みに悩んで、3日連続デパートの同じ店に足を運んでいたという訳だ。
(…う〜ん。 久美さんはどんな物が好きなんだろう)
僕は雑貨が並ぶ棚とじっと睨めっこをしつつ、考え込む。
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