Long Novel

□U
1ページ/9ページ




After
Valentine's Day U
鴨川軍団




バレンタインデーの日の夜。

鷹村さんに呼ばれた僕は、寒空の下を急いで走っていた。

(あれから母さんが帰ってきたから、遅くなっちゃったよ…鷹村さん達、怒ってるかな)

ようやく鷹村さん家の前に着くと、息を整えてからインターホンを鳴らす。


「おぅ! 一歩ー! 待ってたぜぇ」

すぐにドアが開き、鷹村さんが顔を出した。
遅れてすいません、と謝りながら中に入ると、青木さんと木村さんが笑顔で迎えてくれた。

「よ、一歩」

「遅かったなぁ! 待ちくたびれたぜ」

よかった、どうやらみんな怒ってはいないようだ…。 ホッとする。

「で?」

すると、青木さんがにやけた顔で聞いてきた。
木村さんも横で、ニヤニヤと意味深に口元を上げている。

「…え? 何ですか?」

「惚けんじゃねぇよぉ!
ヤってたんだろう?
どうだったんだよ?」

やった…って何を?

「家で久美ちゃんとだよっ!
そのせいで遅れたんだろ?」

…しばらく考え、やっと青木さんの言ってる事を理解すると、一気に顔がボッと熱くなった。

「ななななな何言ってんですか!
そんな、な、何もやってないですから!
ただ話しただけです!」

その時、青木さんと木村さんの顔がニヤリと歪んだ。

「聞きましたか、鷹村さん」

「おう、しかと聞いたぜ」

後ろにいる鷹村さんをゆっくり振り返ると、ニッと歯を出して怪しげに笑っていた。
と、とても嫌な予感がする…。


_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ