さくぶん

□ラブペダル
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帰り道。
静雄が颯爽と自転車をこぐ。
もちろんその後ろの荷台には臨也。ぎゅうっと静雄に抱きついている。
二人はとても幸せな顔だ。
「シーズちゃん」
「どうした?」
「・・・風、気持ちいいね」
「、そうだな」
 たわいもない会話をしながら、進んでいくと、坂道に差し掛かった。強くこぐ静雄の乱雑な運転に、臨也は悲鳴をあげた。
「ちょっと、シズちゃん!乱暴だよ!って、あぁ!ちょっと、ハンドル握りつぶしてるじゃん!!」
「あ」
「あ、じゃないでしょ!まったく、どんだけ馬鹿力なんだよ・・・」
 怒られてるにもかかわらず、静雄は顔を赤くして俯いた。
「・・・おい、臨也」
「何!?怒ってるんだ、って、え?どした?シズちゃん」
「・・・しろよ」
「え?」
「だーかーら!坂道登ってほしかったら背中でもいい、キスしろって言ってんだよ!!」
「・・・ふぇ?」
あまりの静雄の剣幕と内容に臨也は一瞬理解不能だった。間があって、これまた静雄に負けない赤い顔で叫んだ。
「バ、ばっかじゃないの!?何言ってんだよ!?は、恥ずかしい!!////////」
「・・・してくれないのかよ、」
 静雄はむくれる。
「な、なんでしなくちゃなんな、い、のさ//」
 顔を真っ赤にして自転車に二人乗りの男子高校生。シュールな光景だ。
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