響合高校

□番外編
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周りには木々が生い茂り、草花は風に揺られ、ざわざわと音を立てながらなびいている。

「――どう、なっているんでしょうか……」

「わからない……でも、わからないからこそ、それは奇跡であって……」

その中で2人の少女が、互いにしか聞こえないような、弱々しい声で呟いている。

「彼は、もしかして私たちを……」

「……どっちだったんだろう。でも、それはもう――」

2人は抱き合うような感じで、地面に座り込んでいる。
そのうちの1人の目からは涙が流れ、その雫がぽたぽたと地面に生えている草に落ちる。
涙が当たった葉は一瞬動きが鈍くなったかと思うと、そのまま何事もなかったようにまた風になびく。
泣いている少女を慰めるように、もう1人の少女はその少女の頭を優しく撫でる。
彼女の目にもまた涙が溜まっているが、それは流れ落ちることなく、少女の目を潤すだけであった。
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