小説と思われるもの(主に短編

□第一印象なんて大半は髪型で決まる
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神子様御一行は今、テセアラの大地をメルトキオ向かって横断していた。
ケイトとの約束を果たすべく、
そのためには海を渡らなければならないため、メルトキオの精霊研究所へと向かうためであった。

「――このままではダメだわ」

突然、リフィルがそんなことを言いだした。
自然と皆の足が止まる。

「どうしたんですか?」

「私たち、おたずね者にしては目立ちすぎよ」

コレットの問いに、リフィルはそこにいる仲間全員を見ながら答えた。
確かに全員が、良い言い方をすれば個性的、
悪い言い方をすればコスプレ集団のような服装だった。
人数も人数で、とても目立っていた。

「っつっても、どーすんのよ? リフィルさま」

ゼロスが聞いた。
聞かれたリフィルはその場にしゃがみ、近くにあった小枝を使い地に文字を書いていく。

『聞かれていたら意味がないから、これで伝えるわよ。どこかのストーカーさんはとても耳がいいようだし』

リフィルは全員が地面を見て頷いたのを確認してから、
今書いた文字を消しその上からさらに新しく文字を書く。
全員、最後の文につっこむことはしない。

『どこかの町についたら、そこで衣服を調達して変装します』

リフィルが書き終わると、それを目で追っていたプレセア以外の仲間がえっ? と驚きの声を出した。

『変装って、何に?』

リフィルが書いた文字を消してから、ジーニアスがその上に文字を書く。

『そうね、あまり目立たない、その町の一般服がいいと思うわ』

『それはいいとして、この辺りで町といったらメルトキオしかないよ』

書いては消し、消しては書くの繰り返しをしながら、しいなが聞いた。

『それなら俺さまにまかせな。メルトキオは俺さまにとって庭みたいなもんだし』

『じゃ頼んだぜゼロス。変装って、なんかワクワクするな』

『そーだねェ。なんか楽しいよね』

一通り会話(?)が終わると、ざっ、とリフィルが立ち上がった。

「――さ、行くわよ」

それから何事もなかったかのように歩き出す。

「地に伏す愚かな贄を食らい尽くせ!」

少し離れてから、ジーニアスは先程文字という文字を書き続けた地面に向かいグランドダッシャーを発動させた。
確実に証拠を隠滅した。

「……ちょっとやりすぎじゃね?」

「念には念を入れて、ね」

亀裂の入った地面を見ながらロイドが言って、ジーニアスはさらりと答える。
ロイドはそんな親友に少し苦笑して、それから歩き出した。
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